中部圏で世界に先駆け水素・アンモニアの広域な社会実装目指す、FCトラック・フォークリフト活用など提示

中部圏で世界に先駆け水素・アンモニアの広域な社会実装目指す、FCトラック・フォークリフト活用など提示

自治体や企業などで構成の「推進会議」が取り組みの方向性発表

愛知県は3月27日、中部圏の様々な企業や自治体、経済団体、公的機関、国の出先機関が参加し、水素とアンモニアの利用促進を図る「中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議」が、取り組みの方向性を示す「中部圏水素・アンモニアサプライチェーンビジョン」を策定したと発表した。

中部圏で2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、新たなエネルギー資源として期待されている水素とアンモニアを圏内で製造。サプライチェーンを構築するとともに、需要と供給を一体的かつ大規模に創出し、世界に先駆けて広域な社会実装を実現する方針を打ち出している。そのために、地域でFC(燃料電池)トラックやフォークリフトの活用、発電への利用などを加速させることを目指す。

推進会議は2022年2月に発足。トヨタ自動車や東京電力フュエル&パワーと中部電力の合弁で火力発電を担うJERAなど21社のほか、名古屋商工会議所や中部経済連合会、中部経済同友会、経済産業省中部経済産業局、国土交通省中部地方整備局、岐阜県、愛知県、三重県、名古屋市、名古屋港管理組合、四日市港管理組合などが名を連ねている(今年3月末時点)。


(トヨタ自動車提供)

ビジョンは、中部圏が製造業の中心地で国内有数の港湾や火力発電所が集積している一方、産業部門の温室効果ガス排出量が高い点に言及。関係者が持つ技術などを活用し、カーボンニュートラルの実現と経済成長を両立させる基本的な方針を明示している。

そのため、具体的な需要量の目標値を設定。2030年に水素は年間23万t、アンモニアは150万tまで高めていくことなどを盛り込んでいる。

中部圏の水素・アンモニア需要量の目標値

  水素 アンモニア
2030年目標 23万トン/年 150万トン/年
2050年目標 200万トン/年 600万トン/年

具体的な取り組みとして、水素やアンモニアを適正に供給できるサプライチェーンを段階的に広域で構築していくことを明示。特にアンモニアはJERAの碧南火力発電所(愛知県碧南市)の大規模需要を核とし、様々な産業で需要創出を図り、国内初のサプライチェーンを実現することを打ち出している。

併せて需要の創出へモビリティ分野や工場、街中などで実態を調査し、燃料電池を動力源とするトラックやフォークリフトの導入、水素ステーションの整備を促進していくことを列挙。中部圏内で製造した低炭素水素の品質を認証する制度の運用、水素・アンモニアに関する専門人材の育成なども示している。

(藤原秀行)

ビジョンはコチラから(愛知県ホームページ)

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