伊藤忠が国内初、環境負荷低い航空燃料「ニートSAF」をANAやJALに供給

伊藤忠が国内初、環境負荷低い航空燃料「ニートSAF」をANAやJALに供給

中部など3空港、脱炭素の潮流に対応

伊藤忠商事は3月30日、国土交通省航空局が進めている、木くずや微細藻類などを原料に用いた純度100%のバイオ航空燃料「ニートSAF」を輸入、活用するモデル実証事業(本事業)のSAF供給事業者として、中部国際空港へのSAF搬入を完了し、国交省航空局が所有する飛行検査機へ供給を開始したと発表した。

伊藤忠が国内で初めて、ニートSAFをフィンランドで再生可能エネルギー事業を手掛けるNeste(ネステ)から輸入し、富士石油の協力を得て、日本でSAFを混合、安定的に供給するサプライチェーンを構築した。

併せて、伊藤忠は羽田空港・成田空港に続いて3空港目となる中部国際空港でSAF供給を開始。国内で混合したSAFを3空港で全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)など国内外の民間航空会社向けに供給する。

国際民間航空機関(ICAO)は国際線の航空機が排出するCO2を2050年までに実質ゼロとする目標を設定。24年以降は19年比で排出量を15%減らすことが求められるなど、航空業界の脱炭素化の潮流はさらに強まることが見込まれている。

今後は国内においてもSAFの流通量が増える見通し。現在、SAFは欧州を中心に生産され、量も限定的のため、国内でSAFの安定供給実現へ官民で連携し、中長期的な国産SAFの商用規模生産とともに、輸入SAFの国内でのサプライチェーン拡充を図っていくことを目指している。

現在航空機に供給されるSAFは、国際規格「ASTM D7566、D1655」に則り、化石由来のジェット燃料にニートSAFを一定割合混合する必要がある。伊藤忠はこれまで海外で混合されたSAFを輸入・供給してきた。実証事業では日本で初めてニートSAFを輸入し、国内で化石由来のジェット燃料と混合、空港に輸送するまでのサプライチェーンを構築し、ニートSAFの国内での取り扱いのノウハウを蓄積した。将来の国産SAFの商用化に向けた早期の基盤整備にもつなげていきたい考え。

(藤原秀行)

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