7月ごろめどサービス開始、空きスペースの有効活用を後押し
三菱商事やプロロジスなどが出資しているGaussy(ガウシー)は4月10日、空いている倉庫スペースと預けたい荷物をインターネット上でマッチングするシェアリング倉庫サービス「WareX(ウェアエックス)」で、新たに事業会社の自社用倉庫(自家倉庫)のシェアリングサービスを始めると正式発表した。
自家倉庫は自社貨物のみの保管が目的で、倉庫業法に基づく登録を要しない倉庫のため、遊休スペースを他社と活用する手段が限られていた。Gaussyは国土交通省に確認を行った上で、倉庫業法による規制を受けない自家倉庫のスペースをシェアリングできるスキームを構築したと説明している。
Gaussyは今回のサービス開始で倉庫シェアリングサービスの普及と事業会社の遊休資産有効活用を促進できると説明。4月に自家倉庫の登録受付をスタートし、7月ごろをめどに実際のシェアリング利用を開始する予定。
Gaussyが国交省のデータなどから推計したところによると、日本国内の倉庫面積は約1億8600万㎡と見込まれ、そのうち自家倉庫は約1億2200万㎡と全体の約65%を占めているという。
Gaussyは昨今のEC市場の拡大を受け、倉庫需要は年々増加傾向にある一方、季節的な物流波動の影響を受けやすく、特に自家倉庫は第三者貨物を保管できないという制約から閑散期には倉庫スペースが遊休化しやすい構造的な課題を抱えていると指摘。
実際に、倉庫スペース全体に対する遊休スペースの割合は、倉庫業法に基づいて登録している営業倉庫が27%の1730万㎡なのに対し、自家倉庫は40%の4880万㎡に達すると見込んでおり、約3倍の遊休スペースが発生していると見積もっている。
こうした状況を改善するため、Gaussyは自家倉庫の有効活用を、国内の物流効率化と事業会社の資産有効活用などに資する重要な課題と捉え、自家倉庫のシェアリングを検討してきた。
(Gaussy提供)
通常、営業倉庫は倉庫提供者が貨物の保管責任を負っている。Gaussyの自家倉庫シェアリングスキームは倉庫利用者が自ら貨物の保管責任を負うことなる。
倉庫利用者が自らの責任で安心・安全に倉庫利用ができるよう、倉庫利用者・提供者でGaussyが独自に作成した自家倉庫の利用規約に則して倉庫運営に当たる。また、WareXの利用に際して倉庫利用者が営業倉庫と自家倉庫を誤認しないよう、WareX内の倉庫一覧ページなどに自家倉庫であることを明記し、倉庫利用者がいずれの倉庫を選択しているか容易に認識できるよう表示を整備する。
今回、新たに自家倉庫の遊休スペースが流通することで、倉庫の選択肢が大幅に広がると想定。Gaussyは柔軟に有効活用できる物流ネットワークの構築を加速させ、倉庫が社会インフラとして重要な使命を果たしながら、国内産業の競争力強化に貢献できるようにすることを目指す。
(藤原秀行)