物流施設テナントの自動化対応へスタートアップに出資・連携

物流施設テナントの自動化対応へスタートアップに出資・連携

三井不動産・三木氏が意欲

三井不動産の三木孝行取締役専務執行役員ロジスティクス本部長は4月18日、東京都内で物流施設の開発・運営を担うロジスティクス事業の方針について記者会見し、テナントの荷主企業や物流事業者の自動化・省力化のニーズにより的確に対応するため、有望な技術を持つスタートアップに投資、連携していくことに意欲を示した。

また、海外での物流施設開発に関し、既に公表済みのタイに加え、米国や他の東南アジア諸国などでも積極的に展開していきたいとの考えを表明した。


会見に臨んだ三木氏

「供給過多と認識、その上で事業継続」

三木氏は、首都圏を中心に物流施設の大量な新規開発が継続していることに関し「供給過多だと思う。その上で事業を継続していくということに尽きる。数年前から今の状況は見越していた。おかげ様で今のところ順調にテナントリーシングができているが、油断することなく一歩前に行くということに尽きると思う」と述べた。具体的な対応として、テナントリーシングの強化や建築費の抑制、物流施設以外のデータセンターといったアセットの開発などに注力していく方針を強調した。

物流事業者やマテハン設備メーカーなど約50社と提携し、テナント企業の自動化・省力化の要望によりきめ細かく応えていく「ソリューションネットワークの構築」を打ち出したことについては「みんなで英知を結集して社会問題を解決していきたい。当社は荷主企業さんから新しいセンターを作りたいという要望にもお応えできるし、物流企業さんが(物流施設を)借りたいけど荷主がいないという時にマッチングすることもできる」と述べ、多くの企業をつなぎ合わせて新たなソリューションを生み出す「プラットフォーマー」として活動を拡充していく考えを示した。

併せて、「自らスタートアップに出資して提携していくことを昨年あたりからやり始めており、(投資することで)運命共同体として新たな技術の活用に取り組んでいきたい」と明言。既に出資している事例として、RFIDで位置を自動取得する在庫・物品管理システムのRFルーカス、三菱商事から独立して倉庫スペースのシェアリングや物流ロボットの導入支援を展開しているGaussy(ガウシー)、トラックの動態管理システムなどを提供しているHacobu(ハコブ)を列挙した。

提携しているパートナーはこのほか、サトーやギークプラス、IHI、デンソー、ニコン、リコー、SBSグループ、東芝インフラシステムズ、アイリスオーヤマなどが名を連ねていることを明らかにした。

また、ソリューションの開発に際しては、プロロジスや大和ハウス工業といった競合とも引き続き、共同で検討する可能性があることに言及した。

海外展開については「物流施設は非常に可能性のある分野だと思っている」と期待を表明。既に公表済みのタイに加え、米国でも具体的な準備を進めていると報告した。さらに、マレーシアや台湾、ベトナム、インドでも開発を視野に入れていくことを提示した。

(藤原秀行)

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