出荷の迅速化実現、「2024年問題」に対応
オカムラは4月20日、ねじなどの専門商社サンコーインダストリー(大阪市)の物流拠点「東大阪物流センター5号館」に、国内最大級となる高さ14mの超高層仕様自動倉庫「ロータリーラックH」を納入したと発表した。
左:「ロータリーラックH」 右上:「ロータリーラックH」正面 右下:サンコーインダストリー東大阪物流センター
「ロータリーラックH」は、各段が独立して水平旋回する独自の機構を採用し、保管から仕分けまで多目的に活用できる高速入出庫タイプの自動倉庫。国内外の多様な業種・業態の製造現場や物流現場に導入されている。
サンコーインダストリーはこれまでにも、ねじを1本から販売する「数通り販売」の体制強化とアイテム増加に対応するため、2013年に東大阪物流センター4号館にばら品ピッキング用の「ロータリーラックH」を導入。15年には2号館に出荷前の荷合わせ用として新たに「ロータリーラックH」を取り入れるなど、ビジネス拡大に合わせて計8基を順次導入し業務の効率化を図っている。
オカムラは2022年に新設された5号館に、小箱ピッキングを行う物流自動化設備として高さ14mの超高層仕様の「ロータリーラックH」を納入した。保管数は2万6496ロケーション(ケース)を実現した。出荷の迅速化も達成、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」にも対応できると見込んでいる。
取り扱いアイテム数を増加させるため、新たに新設された5号館は自動倉庫の設置面積を小さくし、上部空間を有効活用してロケーション数を最大限多くすることが課題だった。耐震性に優れた「ロータリーラックH」の特徴を生かし、高層化することで、建屋の限られたスペースで大量のロケーションを確保できるようにした。
機械能力は1時間当たり2210コンテナの非常に高速な入出庫作業が可能となり、荷待ち時間の削減を実現した。ピッキング作業は、作業者の手元に商品が運ばれるGTP(Goods To Person)の定点ピッキングを採用し、作業者の負荷を軽減した。
今回納入した超高層仕様の自動倉庫「ロータリーラックH」は、小箱ピッキング用として東大阪物流センター5号館に7基設置した。全長16.8m、棚の段数は46段備えている。
2万6496ロケーションを一般的な平置き棚でレイアウトする場合、約500坪の床面積が必要というが、超高層仕様の「ロータリーラックH」により約5分の1の100坪の床面積でレイアウトが可能になったという。
サンコーインダストリーは当日出荷のオーダーは17時30分まで受け付けているが、ピッキング作業が運送会社の集荷時間の19時に間に合わず荷待ち時間が発生していた。「ロータリーラックH」導入後は、高速入出庫のためピッキング作業の生産性が2倍に向上し、オーダーの締め時間を変更することなく19時の集荷時間に出荷を完了できるようになったという。
オカムラはサービスレベルを落とすことなく運送会社の荷待ち時間の削減を実現したと強調している。
さらに、歩行ピッキングで行っていた作業を、作業者の手元に商品が運ばれるGTPの運用に切り替えたことで、入出庫作業時に作業スタッフが商品を探して歩き回ったり、重さが20kgほどもある段ボールを運んだりする必要がなくなった。
入庫(補充)作業エリア(5号館1階)
出庫(ピッキング)作業エリア(5号館2階)
(藤原秀行)※いずれもオカムラ提供