多業態外食チェーン店舗からの排出分を有効活用図る
グループで焼き肉店「牛角」や回転寿司店「かっぱ寿司」などを展開する外食大手のコロワイド、日揮ホールディングス(HD)、廃油再生を手掛けるレボインターナショナル、環境負荷が低い航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」製造のSAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア・スカイ・エナジー)の4社は5月10日、外食店舗から出る使用済み揚げ油などの「廃食用油」をSAFに活用、再資源化すると発表した。
4社で基本合意した。コロワイドは同社グループが運営、管理する国内の飲食店から出る廃食用油について、レボインターナショナルに収集先を紹介し、業務を支援する。
コロワイドグループは「かっぱ寿司」「大戸屋ごはん処」「ステーキ宮」「FRESHNESS BURGER」など、多業態の外食ブランドを展開。国内店舗数は直営、FCで合計約2300に上る。直営と一部FC店舗、さらにセントラルキッチンなどを合わせたグループ全体の年間フライオイル調達量は重量ベースで約3500トン、容積ベースで380万リットルに達している。
一般に新油(フライオイル)からSAF原料として供出される廃食用油の割合は最大3割程度という。
コロワイドグループは廃食用油を飼料、石鹸など油脂製品、バイオディーゼル燃料などへの再生といった様々な用途に活用してきた。今後は合意に則り、SAFとしての再資源化用途の比重も高めていきたい考え。
原料が100%廃食用油の場合、従来の航空燃料と比べて原料収集からSAFの製造、燃焼までのライフサイクル全体でCO2排出量を約80%削減することが可能と推計されている。
SAF原料の廃食用油について、日揮HD、レボインターナショナル、コスモ石油の3社は昨年11月、サファイア・スカイ・エナジーを設立、国内で発生する廃食用油のみを原料とした年産約3万キロリットルのSAF大規模生産を目指し、2024年度下期~25年度初頭に大阪のコスモ石油堺製油所構内に建設するプラントの稼働計画を公表済み。
同計画の達成に向け、コロワイドグループの協力を得て廃食用油を継続的に供給・利用できるサプライチェーンの構築を図る。
日揮HDとレボインターナショナル、サフィアの3社は、回転寿司店「スシロー」を運営しているFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)とも同様の取り組みを進めることで合意している。
【各社の役割】
コロワイド |
l SAFの重要性について自社グループが運営する店舗にて発信 l レボインターナショナルに対する、廃食用油収集先の紹介と業務の支援 |
日揮HD |
l 廃食用油を原料とする国産SAFサプライチェーン全体構築を主導 l コロワイド運営店舗で排出される廃食用油をSAF製造に利用できるよう本合意当事者間の各種調整を実施 |
レボインターナショナル |
l コロワイドからの紹介先および運営店舗からの廃食用油の収集・運搬、サファイア・スカイ・エナジーへの納入 |
サファイア・スカイ・エナジー |
l 2024年完成予定のSAF製造装置において、レボインターナショナルから納入を受けた廃食用油を原料としてSAFを製造 |
(藤原秀行)