スペクティとRESTEC、人工衛星&SNS情報から大雨時の浸水状況を3D再現

スペクティとRESTEC、人工衛星&SNS情報から大雨時の浸水状況を3D再現

罹災証明発行の時間短縮、自治体業務効率化へ期待

災害情報の提供や防災関連の新技術開発などを手掛けるベンチャーのSpectee(スペクティ)とリモート・センシング技術センター(RESTEC)は6月8日、デジタル庁「デジタルツイン構築に関する調査研究」事業の一環として行った、衛星データとSNSから得られる災害時の浸水情報を空間IDで管理し三次元表示するシステムの実証結果を公開した。

昨今、各地で気象災害が甚大化している中、河川氾濫などの被害が繰り返し起きており、各自治体や行政側の対策として、より高度な情報管理と過去情報を用いた備えが重要視されている。

そこで両者は衛星データやSNSから得られた浸水情報を、地形や建物と組み合わせて3D化するシステムを開発し、被災時の街の浸水状況の再現を試みた。

浸水情報は空間ID単位で管理・ベクトルタイル化しており、Plateau(国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの設備・オープンデータ)の建物情報と組み合わせて3D表示することで、どの建物が何㎝程度、浸水しているのかを把握できる。また、可視化プラットフォームにはCesium(オープンソースとして提供される3D地理空間可視化プラットフォーム)とPhotorealistic3D(3D表示ソフト)タイルを組み合わせて使用し、高精細で快適な表示環境を提供している。

実証に当たっては、佐賀県庁の協力を得て、六角川流域市町を対象地域に設定した。

図1は、2019年8月豪雨に伴う、衛星データとSNS情報を重畳したシステム画面を表示。Specteeは同豪雨の際に国土交通省が公開した有明海沿岸道路の武雄北方ICの浸水被害の写真(図2)と比較すると、被害状況の高い再現性や視認性が確認できると説明している。


(いずれもRESTEC/Spectee提供)

広範囲の浸水情報を撮影できる衛星データの広域網羅性とSNS情報の即時性を掛け合わせることで、高精度な浸水情報を迅速に生成することが可能になる。その浸水情報に空間IDを活用し、3次元に可視化し提供することで、被災状況の把握や振り返り情報としての、より効果的な利用につながると期待している。

例えば、被災者に自治体が発行する罹災証明発行までの時間短縮など、自治体業務の効率化による市民サービスの向上につながる可能性があるという。将来はより高度なデジタルツイン技術を取り入れていくことで、リアルタイム性の高い避難誘導、救命活動の支援などへの利用も見込めるとみている。

SpecteeとRESTECは、今回の実証実験で得られた知見と技術を基に、ステークホルダーと協力しながら利用拡大を図る。 

(藤原秀行)

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