日本の“ロボット革命”情報発信ブースは規模が昨年の2倍に

日本の“ロボット革命”情報発信ブースは規模が昨年の2倍に

世界最大規模の産業技術展示会「ハノーバーメッセ」、4月1日開幕

ドイツのハノーバーで4月1~5日、世界最大規模の産業技術展示会「ハノーバーメッセ2019」が開催される。今回は「Integrated Industry-Industrial Intelligence(統合された産業―産業のインテリジェンス)」をメーンテーマに掲げ、製造現場でのAI(人工知能)活用の最先端モデルなどが多数示される予定だ。現時点で日本を含む約75カ国から6500社程度が参加する見通し。期間中の来場者は22万人を見込む。

国内のPR活動を担っている日本能率協会(JMA)のドイツメッセ日本代表部はこのほど、日本から出展する82の企業・団体の一部メンバーを交えた記者発表会を東京都内で開催した。18年に続いて今年も官民で先進技術開発を後押しする「ロボット革命イニシアティブ協議会」がJMAと共同で「ジャパンパビリオン」と称するブースを設け、“日の丸ロボット”など各種先端技術を積極的に情報発信することを発表した。ブースは昨年の2倍となる約100平方メートルまで拡張する。

 
 


記者発表会に参加した出展予定者ら

“IoT工具”など多様なソリューション紹介

プレゼンテーションには8つの企業・団体が出席した。このうちジャパンパビリオンに名を連ねているのがi Smart Technologies(愛知県碧南市)、アビームコンサルティング、Edgecrossコンソーシアム(東京)、京都機械工具(京都府久御山町)、情報通信研究機構(NICT)、日本電機工業会(JEMA)の6者だ。

i Smart TechnologiesはIoT(モノのインターネット)を利用した製造ライン遠隔モニタリングサービスを出展。木村哲也社長CEO(最高経営責任者)は「タイに進出しており、グローバル展開を視野に入れている」と表明した。

アビームコンサルティングは設計開発の工程に照準を合わせた解析ソリューションをアピール。橘知志ダイレクター(P&T Digital ビジネスユニットIoTセクター長)は「欧州でもサービス展開の土台ができたので、積極的に提案していきたい」との意気込みを見せた。

EdgecrossコンソーシアムはIT関連企業250社以上が参加しており、製造現場向けのIoT基盤「Edgecross(エッジクロス)」の普及に取り組んでいることをアピール。森浩嗣マーケティングマネージャーは「今回の出展を通じて海外企業や団体との連携を実現したい」と狙いを語った。

初出展の京都機械工具は、工具に取り付ければ作業中にさまざまなデータを測定、収集できるシステム「トレサスシリーズ」を積極的にPR。重田和麻事業開発室長は「ロボットやIoTが進展したとしても製造業で人の手による作業は必ず残る。その部分を先進技術で支援することに取り組んでいきたい」と話した。

 
 

NICTは製造現場向けの無線通信規格や3次元シミュレーターなどを案内。丸橋健一主任研究員は「工場内がワイヤレスで通信できる利点は非常に大きい。技術やシミュレーターを通じてその価値を訴えていきたい」との思いを明らかにした。

JEMAは提言書「製造業2030」の中で実現すべき概念として打ち出した、柔軟にビジネス環境を構築する「FBM(Flexible Business and Manufacturing)」を来場者に訴える。スマートマニュファクチャリング特別委員会の茅野眞一郎委員長は「既にさまざまな活動を進めている海外の団体とさらに情報交換や連携を図っていきたい」と強調した。

協賛の金属労組「第4次産業革命に積極的に貢献したい」

このほか、単独ブースを構える企業として、ソフトウエア開発などを手掛けるブロードリーフ(東京)とヤマハ発動機の2社が登場した。

ブロードリーフは動作解析ソフトを出展する。馬來洋介ビジネスイノベーション推進室長は「21年までにIoA(Internet of Ability=人間の能力がインターネットにつながる世界)を実現したい」と思いを語った。

ヤマハ発動機は製造ラインの生産性向上を果たすためロボット化の方策「YAMAHA ROBOT BEST SOLUTION」を積極的にアピール。搬送用ロボットを使ったスピーカーの組み立てデモなどを披露する。FA統括部営業部国内営業グループの西川愛子氏は「欧州を重要販売地域として強化する方針だ。当社だからできるソリューションを提案する」と意気込みを見せた。

JMAドイツメッセ日本代表部の竹生学史部長は「日本からの出展面積は過去最大。日本の中でのハノーバーメッセの位置付けと同様に、ハノーバーメッセ内での日本企業の発信力も高まってきている」と期待を示した。

 
 

ロボット革命イニシアティブ協議会の久保智彰事務局長は「日本の『コネクテッドインダストリーズ』の実情を世界に発信して各国との連携を強化し、日本のプレゼンス向上を図っていきたい」と活動の目標を説明した。

ジャパンパビリオンに協賛している全日本金属産業労働組合協議会の髙倉明議長は、労組が参画する意義について「過去の産業革命を社会の発展につなげていったのは現場の労働者。第4次産業革命でも働く人の立場から理解を深め、積極的に社会の発展に貢献したい」と解説した。

(藤原秀行)

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