【独自・JapanDrone2023】IHI、「空飛ぶ軽トラ」開発構想を初披露

【独自・JapanDrone2023】IHI、「空飛ぶ軽トラ」開発構想を初披露

ガスタービン発電機活用し1t・1000km輸送、物流効率化や災害支援への活用想定

IHIは、千葉市の幕張メッセで6月26~28日に開催されたドローンの大型展示会「JapanDrone2023」で、重量物を長距離にわたって自動で運ぶことが可能な大型機「空飛ぶ軽トラ」の開発構想を発表した。展示会の場で同構想を披露するのは初めてという。

ガスタービン発電機を活用して強力な動力を得ることを想定。技術を結集し、ペイロード(可搬重量)1t、飛行距離1000kmクラスの無人輸送を実現できると見込む。IHIは今後、パートナーとなる企業や研究機関を募るなど、開発を着実に進めていきたい考えだ。


浮上実験を行った「空飛ぶ軽トラ」構想の機体。小型のガスタービン発電機などを搭載している

ドローンは現状、動力源としてリチウムイオン電池を使うことが多い。IHIは航空機のエンジンや発電機のタービンの開発などで培った技術とノウハウを生かし、ドローンにガスタービン発電機を搭載、リチウムイオン電池の場合より大型の荷物を長く空輸できるようにすることを念頭に置いている。

JapanDrone2023には、実際に研究で用いた機体を展示。ガスタービン発電機を2基搭載しており、最大の推力は200kgに達しているという。同じくドローンや「空飛ぶクルマ」の開発を手掛けるHIEN Aero Technologiesと共同でeVTOL(電動垂直離着陸機)の浮上実験を行い、機体を浮かび上がらせることに成功した。

IHIはJapanDrone2023に設置した自社グループのブースで、北海道~東京、東京~小笠原諸島、宮崎~南西諸島がそれぞれ1000km程度と説明した上で、物流効率化や水産物輸送の迅速化、災害支援、離島防衛などに使えると想定。「物流や輸送に革命を起こすことができる」と意義を強調している。

IHIがグループで持つ技術を駆使し、エンジンや専用着陸設備、環境負荷の低い燃料SAFなどを組み合わせ、「空飛ぶ軽トラ」の実現を目指すイメージを展示した。担当者はまだスケジュールは確定していないと前置きした上で、5年後くらいの実用化を目指したいと語っている。

(藤原秀行)

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