安全性向上期待、24年度中の導入目指す
JR貨物とコマツは7月12日、鉄道輸送における荷役作業の生産性と安全性の向上を目指し、4月にコンテナ用フォークリフトのガイダンス・セミオートの両機能に関する共同開発契約を締結したと発表した。
今後、同機能を搭載したフォークリフトの量産開発を目指し、実用化技術の共同開発を進める。
操作ガイダンス機能は、車体と作業機周辺に設置した複数のカメラなどセンサーを用いて、オペレーターが直接視認しにくいフォーク先端高さや中心位置をモニタ表示で支援する。同機能はコンテナを適正な位置で保持しているかを検出し、適切でない場合はオペレーターに警告を発して周辺コンテナへの接触やコンテナ落下といった事故の防止に貢献する。
操作セミオート機能は、高性能のLiDARといった外界センサーを使い、荷役対象コンテナの位置を認識し、オペレーターがアクセル操作のみでフォークリフトを自動的に荷役対象コンテナへ正対させられるようにする。独自の荷役対象認識技術により、フォーク位置を正確に自動制御する。
(プレスリリースより引用)
JR貨物のコンテナ荷役は主にコンテナ用フォークリフトを使っているが、フォークリフトオペレーターは運転操作の習熟のほか、荷役作業の段取り、荷役、ダイヤ乱れに対応した臨機応変な運用判断が求められ、経験の浅い新人オペレーターにとっては運転操作の難易度の高さと視認性の問題などから、特にコンテナへの正対動作やフォークポケットに挿すフォーク位置の調整に苦労することがある。
また、荷役作業の誤操作は車両の脱線や積載済コンテナへの接触につながるリスクもある。
こうした課題の解決を目指し、コマツは2019年、フォークリフトオペレーターの作業負荷軽減たのめ、JR貨物のコンテナの約9割を占める12ftコンテナを扱うエンジン式フォークリフト「FH120」をベースとして、操作ガイダンス機能と操作セミオート機能の先行研究を始めていた。
先行研究で本機能がオペレーターの作業負荷軽減に大幅な効果が期待できると確認できたため、共同開発に踏み切る。今後は両社で本機能を搭載した量産車両の共同開発を進め、2024年度から全国の貨物駅へ、21台の車両導入を目指す。
(藤原秀行)