24年10月発売目指す、将来は道路向けも
ZMPと工作機械や特装車両などを手掛ける豊和工業は7月19日、ZMPが東京都内のお茶の水女子大学で開催した、自社の先進技術を紹介するイベント「ZMP World 2023」で、両社が連携して実用化に取り組んでいるEV(電気自動車)の自動運転清掃車両「EVロボスイーパー」をメディアなどに公開した。
豊和工業は路面清掃車両で9割と国内トップシェアを誇る。ただ、清掃車両はドライバーの不足が今後進むと見込まれるため、豊和工業の開発した清掃車両に、ZMPの自動運転技術を導入。無人でも安全に清掃を自動で進められるようにするのが狙い。
両社は実証実験を重ねており、豊和工業は2024年10月の発売を目指している。まだ道路交通法で無人自動運転による道路清掃は認められていないため、当初は大規模な工場や公園などの敷地向けに提供していくことを想定している。価格は2000万円を検討しており、サブスクリプションでの提供も視野に入っている。現在使われている道路用の大型清掃車両が3000万円程度という。
公開したEVロボスイーパー
公開したEVロボスイーパーは全長約2.6m、全幅約1.7m。リチウムイオン電池を搭載し、電動モーターが駆動するため、走行中にCO2を排出しない。ZMPが独自に開発した自動運転OS(基本ソフト)「IZAC(アイザック)」を取り入れ、事前に設定したルートを走行する上、高性能センサー「LiDAR」なども活用して壁際・路肩へ追従しごみを掃き、周囲の障害物を感知すると自動的に衝突や接触を回避する。
同日会見した豊和工業の塚本高広社長は「今われわれが手掛けている清掃車両の事業も、いつまでも人が運転しているような時代ではない。屋外版『ルンバ』のような、自律走行の車が絶対に必要になる。自律走行の技術を培って、全ての清掃車に適用できるようにしたい」と意義を強調。
将来は道路で使われる清掃車両についても自動運転化を図る計画を明らかにし、「カーボンニュートラル社会に適用した環境対応型清掃車の開発に、積極的に取り組む」と決意を示した。海外市場も新興国を念頭に置いているという。
会見後の撮影に応じる豊和工業の塚本社長(左)とZMPの谷口恒社長
(藤原秀行)