「群馬にミシュランの技術結集、2024年問題解決などでイノベーション起こしていきたい」

「群馬にミシュランの技術結集、2024年問題解決などでイノベーション起こしていきたい」

日本法人・須藤社長、本社移転受け決意表明

フランスのタイヤ大手ミシュランの日本法人、日本ミシュランタイヤの須藤元社長は8月3日、群馬県太田市に本社を移転したのに伴い、同市内で記者会見した。

須藤社長は地元の群馬県庁や群馬大学、車両動態運行管理のドコマップジャパン、地場物流企業の美松運送(群馬県藤岡市)と連携し、デジタル技術を駆使して輸送業務の生産性向上や環境負荷低減などを図るプロジェクトを8月1日に開始したことを紹介。トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」の解決をタイヤメーカーの立場から後押ししていきたいとの考えを強調した。

タイヤの金型を製造するのに使う「積層造形(AM)」の技術を活用し、群馬県の企業とタッグを組んで精密な部品の製造を後押しするGAM(一般社団法人群馬積層造形プラットフォーム)の活動を進めていることにも言及し、「この地にミシュランの知恵と、経験を終結し、群馬からイノベーションを起こしていきたい」との決意を表明した。


会見する須藤社長

プロジェクトは産官学連携事業として群馬県のDX加速のための補助金を活用、技術開発などに取り組む計画。須藤社長はプロジェクトに関し「群馬は地理的に、本州の一番センターに位置しており、これから物流の要となってくる。その中で、物流業界の困りごとに対して何かできないかを考えている」と強調。

「運送事業者さんは1日にトラックが地球1周分ほど走行したりしている。それだけタイヤは消費されている。安全運行のために検査やメンテナンスはすごく時間がかかっている。人手不足と言われる中で、ここの部分をどうやって効率化できるか、ミシュランからのノウハウでデジタル化(の具体的な活用手法)をインプットしていきたい」と述べた。

プロジェクトは、ミシュランが電子タグを利用してタイヤの個体管理を実現し、タイヤを交換・メンテナンスすべき時期をユーザーが的確に把握できるようにすることなどを想定。併せて、ドコマップジャパンが車両の運行データを蓄積し、温室効果ガス排出量を細かく割り出すことなども目指している。さらに、群馬大学がトラックの待機時間削減などを研究する。

須藤社長は「ドライバーによっていい環境を実現し、荷主もCO2が削減され、運送事業者も業務の効率が良くなる。データドリブン、ファクトベースでデジタルを使いながら、ブレークスルーを起こしていきたい」と語った。


山本一太群馬県知事(右から3人目)ら関係者と撮影に応じる須藤社長(いずれも日本ミシュランタイヤ提供)

(藤原秀行)

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