AI活用し、売場のペーパー業務と人力作業のデジタル化実現
そごう・西武とDXのコンサルティングを手掛けるRidgelinez（リッジラインズ）は8月7日、AIを活用した在庫管理のデジタル化を8月28日に開始すると発表した。
両社はバーコードやRFIDに頼らず、AIによる単品在庫管理を実施するのは国内の百貨店業界で初めてと説明。第1弾として東京都豊島区南池袋の「西武池袋本店」の諸国銘菓、名産売場とさいたま市の「そごう大宮店」の諸国銘菓を対象に開始する。今後は他の自主運営売場から拡大させ、全店展開を目指す。
西武池袋本店 諸国銘菓、名産売場
コンビニエンスストアやアパレルなどで広く採用されている在庫管理のデジタル化手法は、取引先の協力を得ながら商品バーコード、RFIDなどの運用を統制することが求められる。
一方、そごう・西武の諸国銘菓、名産売場は、取り扱いメーカーや商品が多岐にわたり、完全な形でのJANコードによる管理ができていなかった。その結果、発注業務や在庫管理をデジタル化できず紙台帳で運用し、個人の経験や勘に基づく発注をファクスで実施せざるを得なかった。
そのため、発注に時間を要する、担当者によって発注精度のばらつきが出る、ECと連動ができない、賞味期限がある商品の販売機会を損失しているといった課題を抱えていた。
こうした課題を解決するため、そごう・西武はRidgelinezとともに、売り場のデジタル化を目指し、画像認識AIによる単品在庫管理に向けて、新たな取り組みを開始した。
Ridgelinezが開発した画像認識AIを組み込んだ在庫管理業務アプリを活用することで、バーコードなどの有無にかかわらず、商品在庫の単品管理が可能な仕組みを実現。2022年1月に実証実験を開始した。
紙台帳の管理が不要となったことにより、発注、検品、納品作業時間の33%削減を実現。また、デジタルダッシュボードの情報を活用した過剰発注の発見により、廃棄ロス削減に向けた発注調整を開始した。画像認識AIの検知率は実験を重ねることで約99%にまで高められているという。
在庫管理業務アプリ画面（いずれもプレスリリースより引用）
そごう・西武は今後、Ridgelinezとともに本取り組みの対象売場を拡張しながら在庫情報のデジタル化をさらに進め、その情報を基にAIを活用した需要予測や発注の自動化を目指す。また、在庫情報を自社ECサイトに連携することで、同サイトの商品を拡充し、販売を強化していくことも目指す。
（藤原秀行）
