高性能スキャン技術Scanditの日本事業責任者・関根氏、LINEアプリと連携強化を表明

高性能スキャン技術Scanditの日本事業責任者・関根氏、LINEアプリと連携強化を表明

消費者が商品検索へ利用可能に、普及図る

バーコードなどの高速・高精度読み取り技術を手掛けるスイスのスタートアップ企業Scandit(スキャンディット)の日本法人は7月26日、新たなソリューションに関する記者会見を開催した。

この中で、日本法人トップで日本事業責任者の関根正浩氏は、専用の端末を使わずスマートフォンのカメラを生かして高精度の読み取りを可能にするスキャンディットの技術「Smart Data Capture(スマート・データ・キャプチャー)」に関し、日本でもイオンリテールやオーケー、東急ハンズ、ヤマト運輸などが本格的な活用に乗り出していると説明。

さらに、企業だけでなく一般消費者にもスマホを活用した読み取り技術を広めていくため、スマホの対話アプリを展開しているLINEとも連携を強めていく姿勢を強調した。

記者会見では、「Smart Data Capture」の新たな機能として、小売店舗の棚などにある多くの類似商品の中から目的のものを迅速に見つけられる「MatrixScan Find(マトリックススキャン・ファインド)」の提供を開始したと発表。AR(拡張現実)を活用し、スマホなどの画面上に目的の商品写真を重ね合わせるなどして、視覚的に作業を支援する。

小売店舗や物流倉庫での活用に加え、小売事業者が顧客向けアプリに機能を組み込み、店舗の棚で購入したい商品を探したい時に使えるようにすることも可能という。


MatrixScan Findのイメージ(Scandit提供)

オンラインで会見に参加したScanditのジョン・フォースルンド プロダクトマーケティング担当シニアディレクターは「消費者がMatrixScan Findの機能を使うことも可能で、利用できる領域がかなり広がる」と指摘した。

また、Scanditとパートナーシップを構築している企業として、LINEからマーケティングソリューションカンパニー プランニング統括本部ビジネスデザイン室UXデザインチームの福田真マネージャーが登場。

LINEアプリの中で商品注文や順番待ち受付・呼び出しといったサービスを提供し、企業の商品売り上げアップや店舗への来客促進をサポートする「LINEミニアプリ」の中でScanditの機能を使えるようにして、消費者が商品の情報を読み取りスマホ上で決済まで完了できる仕組みを広げていくことに強い意欲を見せた。

福田氏は、LINEミニアプリに搭載した読み取り機能と、企業や店舗がLINEに設定している公式アカウントを連携させることで、消費者と密につながることが可能になると想定。「一気通貫で、LINE上で様々なユーザー体験をお届けすることができると期待している」と語った。

関根氏は「今回あらためてLINEとの取り組みを強化していくことにした。具体的にお客様向けのサービスも準備している」と説明。

物流に関しても、ヤマトがEC事業者向けの配送サービスを担う協力運送事業者の業務用アプリにScanditの技術を採用し、荷物の積み込み作業効率化を図った事例などを踏まえ「協業は引き続き、良好な形で推移している」と強調した。その上で「ユースケースは他の事業者にも広げていきたい」と解説した。

(藤原秀行)

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