日本とカナダ、EV向け蓄電池のサプライチェーン構築へ協力

日本とカナダ、EV向け蓄電池のサプライチェーン構築へ協力

両国間で覚書署名、重要鉱物の安定調達目指す

西村康稔経済産業相は9月21日、訪問先のカナダ・オタワで同国のフランソワフィリップ・シャンパーニュ革新・科学・産業相、メアリー・イン輸出促進・国際貿易・経済開発相、ジョナサン・ウィルキンソン・エネルギー天然資源相と会談し、EV(電気自動車)向け蓄電池のサプライチェーン構築で両国が連携することをうたった協力覚書に署名した。

日本政府が蓄電池に関する協力覚書を結ぶのはカナダが初めて。日本政府は今後、協力覚書に基づき、蓄電池に不可欠な重要鉱物の探鉱などの面で日本企業のカナダ進出を後押しする。

カナダ政府も日本企業が進出しやすくなるよう、規制緩和などを検討する見通し。蓄電池製造時などの再生可能エネルギー利用促進や温室効果ガス排出削減にも両国が連携して取り組む。

日本政府としては、カナダからEVに不可欠なリチウムやニッケルなどの鉱物資源を安定的に調達できるようにしたい考え。米国で販売する日本のEVが税制優遇を受けやすくする狙いもある。両国は今後、双方の担当省庁の局長級幹部による政策対話の場を設け、具体的な連携内容を詰める。

会談の場では併せて、パナソニックエナジーとカナダの探鉱企業Nouveau Monde Graphite(ヌーボー・モンド・グラファイト、NMG)がEV用リチウムイオン電池の北米地域でのサプライチェーン強靭化に向け、電池の負極材料に使う黒鉛の安定供給などで協力することを記した合意文書に署名した。

プライムプラネットエナジー&ソリューションズとカナダの探鉱企業FPX Nickel(FPXニッケル)、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も、「ニッケルの電池サプライチェーンに関する覚書(non-binding MOU)」を締結した。


覚書に署名した西村経産相ら日本・カナダ両国政府関係者(経産省ホームページより引用)

(藤原秀行)

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