「2024年問題」解決に貢献へ日本でも早期に一定条件下で実現目指す
米カリフォルニア州サンディエゴに本拠を置き、トラックの自動運転技術開発を手掛けるTuSimple Holdings(トゥーシンプルホールディングス)の日本支社TuSimple JAPAN(トゥーシンプルジャパン)は9月27日、神奈川県海老名市の拠点「海老名ラボ」で、開発中の自動運転トラックをメディアに公開した。
TuSimpleは2015年に米国と中国で同時に創業、19年に中国初の大型トラック隊列走行実験を、21年12月には米国でやはり世界初の完全無人走行テストをそれぞれ成功させた。北米エリアではUPSなど約20社に自動運転輸送サービスを提供、走行距離は32万km以上に到達しているという。
日本では17年にTuSimple JAPANを設立、今年1月には東名高速道路で自動運転トラックの走行テストを開始した。現在、走行テストに投入している大型トラックは日野自動車製のプロフィアに高性能センサーのLiDARやカメラなどの機器を搭載。周辺の状況を常に確認しながら走行できるようにしている。今後も東名道で走行テストを継続し、早期に一定の条件下で完全自動運転を果たす「レベル4」を実現したい考えだ。
実験に投入している大型トラック
センサーやカメラなどを搭載している
海老名ラボで同日、記者会見したTuSimple JAPANのナン・ウー代表取締役は「技術的にはもうレベル4の領域に入ってきている。『2024年問題』の解決に貢献できる存在になりたい」と説明。
小坂暢裕副社長は「物流量が多い東京~名古屋~大阪の間でまず自動運転技術をきちんと作り上げたいということで進めている。幹線輸送の部分で連携できるところから(成果を)積み上げていきたい」と語り、トラックメーカーや物流事業者、損害保険会社などと幅広くタッグを組んで自動運転のソリューションを構築していくことに強い意欲を見せた。
撮影に応じるウー代表取締役(右)と小坂副社長
走行テストで用いている大型トラックには運転席と助手席の間に、センサーやカメラからの情報を収集、分析して操作する自動運転の機器を搭載。トラブルが発生した際、自動運転のシステム稼働を停止し素早く手動運転に切り替えるためのボタンも置かれている。通常は自動運転を開始しても、ハンドルやアクセル、ブレーキを操作すれば手動運転に切り替わるが、自動運転システム自体も稼働を続けて、すぐに自動運転へ戻ることができるようになっている。
走行テストの際は、非常時に備えて運転席と助手席にそれぞれスタッフが乗り込み、高速道路に進入してから自動運転を開始している。現状はドライバーらが搭乗、部分的に自動運転する「レベル2」でテストを重ねている。センサーはトラックの周囲360度、前方1000mをカバーし、他の車両や障害物を検知しているという。
運転席と助手席の間の機器
有事に手動運転へ切り替えるボタンなどを備えている
走行前にセンサーやカメラを点検、汚れを落とす
(藤原秀行)