北海道工場への危険物運搬にノウハウ活用
長瀬産業は11月22日、国内での次世代半導体量産化を目指すRapidus(ラピダス)が北海道千歳市に建設する半導体工場(IIM)に、半導体材料を本州から北海道へ向けて輸送を手配する取りまとめ事業者の1社として選定されたと発表した。
ラピダスはトヨタ自動車やNTT、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、NEC、三菱UFJ銀行の8社が出資。自動運転やAIなどに不可欠な2nm(ナノメートル)の最先端半導体の国産化に取り組んでいる。
長瀬産業は、半導体の製造に必要となる主要な材料輸送の取りまとめ業者として、サプライヤー各社が納入する材料を全国数カ所のターミナル拠点に集約、各材料の適性に応じた輸送手段を見極め、IIM周辺の倉庫に納入する物流の取りまとめを担う。
化学系専門商社として半導体製造に関わる約300社のサプライヤーとのネットワークを構築し、創業190年を超える化学系専門商社として蓄積したケミカルの専門知識、危険物を安全に運ぶソリューションを含め環境に配慮した輸送スキームを提案したことなどが評価されたという。
取りまとめ業者の材料輸送イメージ(プレスリリースより引用)
半導体の製造工程はリソグラフィーやエッチングなどで引火性の危険物である薬液や高圧ガスが使用される。青函トンネルではJR貨物の規約によりこうした物資の輸送が禁止されており、トラックや列車による陸上輸送に加え海上輸送が必須。
長瀬産業のグループ会社で危険物輸送の実績が豊富なセンコーナガセ物流株(兵庫県尼崎市)、商社業としてのネットワークでつながる商船業者と連携し、ラピダスが目指す最先端半導体国産化の実現を物流面から後押しする。
長瀬産業は1960年にイーストマン・コダックの総代理店として半導体材料の輸入を始めたことを手始めに、映像フィルムの現像技術を半導体製造のフォトリソグラフィー技術に応用して発展させ、薬液の販売事業などを展開。1974 年から企業の枠を超えて産業全体で日本の半導体技術の向上を目指す勉強会「ナガセマイクロエレクトロニクスセミナー」を開催し、半導体関連企業や技術者、研究者との関係を深めている。
(藤原秀行)