動静脈一体物流を活用、まずオンワード樫山など大手3社と協力
センコーグループホールディングス(GHD)は11月29日、グループのセンコー商事と東京納品代行、アクロストランスポートの輸送網を生かし、アパレル業界向けに動静脈一体物流を展開して効率的に廃プラスチックを回収・再生する資源循環プラットフォームの実証事業を行ったと発表した。
クボタや中部電力が出資しているテラレムグループ(東京都中央区新川)が回収プラスチックの資源化を手掛け、資源化されたチップを流通に乗せる役割を豊田通商グループの化学系専門商社、豊通ケミプラス(東京都港区港南)が、資源化された樹脂からフィルムを製造し再生品化する工程をアパレル向けRFIDなどのナクシス(東京都渋谷区千駄ヶ谷)がそれぞれ担った。
センコーGHDは実証事業の経過を踏まえ、今回の枠組みで事業として採算性が確保できると判断。12月1日にオンワード樫山、三陽商会、シップスのアパレル大手の協力を得て本格的に事業化をスタートさせた。
アパレル業界のサプライチェーンで発生するハンガーカバーの廃棄物は、非常にきれいな状態で排出される廃プラスチックにも関わらず、現状ではほとんどがサーマルリカバリー(熱回収)にとどまっている。
物流拠点や各店舗で発生するハンガーカバーの廃プラスチック(ポリエチレン、PE)をマテリアルリサイクルするためには、薄く広く分散した廃棄物を効率的に回収することが必要不可欠であり、そのために企業の枠を超えた横断的な仕組みを構築することが求められていた。
実証事業は、センコー商事がコーディネートし、関連法規に準拠し廃棄物を資源として管理し、静脈サプライチェーンを有効活用しながら、東京納品代行とアクロストランスポートの車両を利用し、アパレル各社に商品を納品した際に物流倉庫や店舗などから排出されるプラスチックを分別してPEを回収、テラレムのマテリアルリサイクル施設で樹脂ペレットとして原料化した。
樹脂ペレットは豊通ケミプラスの流通に乗せ、ナクシスに販売、元のハンガーカバーに再生され商流に戻すことが可能との流れを確認した。今後は他のアパレル企業も参加可能なプラットフォームとして展開する。
【実証事業の実施概要】
実証期間:2023年8月1日〜11月30日
回収拠点:株式会社オンワード樫山 芝浦第3ビル・第4ビル(東京都港区)
株式会社三陽商会 東日本商品センター(千葉県市川市)
株式会社シップス コントロールセンター(物流センター)(東京都江東区)
回収対象:納品時のハンガーカバー、ニット・カットソーなど包装プラスチック(透明PE)
参加企業:センコー商事、東京納品代行、アクロストランスポート、テラレム、豊通ケミプラス、ナクシス
協力企業:オンワード樫山、三陽商会、シップス
事業イメージ(いずれもプレスリリースより引用)
個社では実現が難しい廃棄物の資源循環を、業界や企業の垣根を超えたあらゆる企業が相乗りして取り組むプロジェクト「CicroMate(サイクロメイト)」として、多くのアパレル企業やブランドの参加を募り、資源循環プラットフォームとして社会に定着させていき、サーキュラーエコノミーの一翼を担う活動へ発展させたい考え。
CicroMate(サイクロメイト)は英語で「循環」を意味するcirculationと「交差」を意味するcross、「素材」を意味するmaterial、「仲間」を意味するmateを取り込んだ造語。業界の垣根を越えて資源を循環させる輪を広げていきたいとの思いを込めている。
(藤原秀行)