千葉市などが実験公開、都市部で早期の実用化目指す
ドローン関連サービスを手掛けるダイヤサービス(千葉市)と千葉市、SBS即配サポートなどは12月20日、千葉市の幕張エリアで、ドローンと地上を走行する配送ロボットを組み合わせた都市部での自動宅配サービス実現に向け実証実験を共同で実施、メディアに公開した。ダイヤサービスなどは物流業界の人手不足を考慮し、早期の実用化を目指している。
実験は国土交通省の関連事業として行った。医薬品を積んだドローンが高層マンション近くまで荷物を運んだ後、待機する配送ロボットが引き継ぎ、マンション内の個宅まで実際に建物内を自律走行し、住民に無事届けた。荷物は解熱剤やせき止めなどの医薬品を想定したダミーのものを取り扱った。
千葉市はドローンや配送ロボットなどの先端技術実用化を促進する「国家戦略特区」に指定されている。2016年以降、東京湾上空をドローンが飛行して湾岸の倉庫から幕張新都心まで空輸する構想の実現を目指し、これまでに9回の実証実験を重ねてきた。10回目となった今回の実験で得た知見と課題を踏まえ、引き続き民間事業者と連携していきたい考えだ。
実験に使ったドローン
飛行しているドローン
実験に使った配送ロボット
実験は日本調剤や三井不動産レジデンシャルサービス、ブルーイノベーションも協力した。ドローンはACSL製、配送ロボットはDoog製のものをそれぞれ投入した。
この日の実験は、最初に公園からドローンで、高層マンション「幕張ベイパーククロスタワー&レジデンス」の近くまで約600mを飛行し、専用の離着陸設備「ドローンポート」に着陸。その後、ドローンポートを介して機体に搭載していた荷物を配送ロボットに引き渡した。配送ロボットはエントランスからエレベーターを経て目的の階まで移動、通路から目的の住戸の玄関先までスムーズに荷物を届けた。
実験で使ったドローンポート。ドローン搭載の荷物を切り離すと、自動的に配送ロボットに積み込まれる
モニターが映し出した離陸の様子
実験の中でドローン飛行の部分は、現場から直線距離で約9.2km離れた千葉県船橋市のSBS即配サポート倉庫からLTE(携帯電話用高速通信)回線を使い、遠隔で運航を管理する予定だったが、通信トラブルで飛行に必要な情報を運行管理システムにうまく送ることができず、急きょ現地でオペレーターが手動で操作した。
実験後、現地でメディアの取材に応じた千葉市の神谷俊一市長は「市街地のドローン物流が社会実装にまた一歩近づいた。事業者のサービス実現に向けた取り組みをこれからも最大限支援していきたい」と意欲を見せた。
取材に応じた神谷市長
撮影に応じた国土交通省・長井総和大臣官房審議官(物流自動車局担当、一番左)、千葉市・神谷市長(左から3人目)ら関係者
(千葉市提供)
(千葉市提供)
(安藤照乃、藤原秀行)