物流業界への影響必至
ダイハツ工業は12月20日、国内外で生産している自社開発の車種全ての出荷を停止すると発表した。
新車の安全性に関する試験などで、試験結果を捏造したり、試験の際に車両や実験装置に不適切な調整を施したりと膨大な不正行為が判明したためで、生産自体も止める。
同社によれば、現在生産・開発中の国内28車種とエンジン1種類、海外16車種の全てで、大量生産に必要な型式認証を国土交通省から得る上で不正行為が見つかった。
既に生産が終わったものも含めると64車種、エンジン3種類に及ぶという。中にはトヨタ自動車やマツダ、スバルへOEM(相手先ブランドでの製造)供給している車種も含まれる。
国内トップの軽自動車メーカーで未曾有の大規模な不正が明るみに出たことで、経営への大きな打撃になることは避けられない。不正行為があった車種は商用車の軽トラックやバンも含まれており、物流業界にも影響しそうだ。
同社の奥平総一郎社長らは同日、東京都内で記者会見し「不正を生み出す環境を作った責任は経営陣にある」と語り、謝罪した。
ダイハツは同日、国交省に不正行為の実態を報告した。国交省は事態を重視し、道路運送車両法に基づき、12月21日に同社への立ち入り検査を開始する予定。
ダイハツでは今年4月、海外向け新車で安全性を確認する試験に不正行為があったことが発覚したため、5月に第三者委員会を設置し、調査を依頼。12月20日に調査結果を公表した。
ダイハツは調査結果を受け、「経営陣が現場の実態を十分把握せず、その場限りの対応に終始する中で、2013年以降の開発プロジェクトの増加を短期日程で進めることに伴う現場の負荷が見逃され、現場が困った時に声を上げられない環境を放置してきたことがある」との考えを表明。法令順守体制の実現と再発防止などに取り組み方針を強調している。
不正があった車種には、バンの「アトレー」や「ハイゼットカーゴ」、軽トラックの「ハイゼットトラック」などの商用車も名を連ねている。
(藤原秀行)