子供が風邪と想定、日用品など空輸
セイノーホールディングス(HD)とエアロネクスト、同社子会社でドローン物流を手掛けるNEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンの4社は1月16日、千葉県君津市で、中山間地におけるドローン配送の実証実験をメディアに公開したと発表した。
君津市とセイノーHD、エアロネクスト、テラ、KDDIスマートドローンの5者は昨年11月、ドローンを含む次世代高度技術の活用による地域共創に向けた連携協定を締結。今回の実証実験もその一環と位置付けている。
今回の実証実験はNEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが開発を推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」の社会実装の検討のために実施。清和地域拠点複合施設に仮設のドローンデポを設置し、ドローンを活用して日用品のドローン配送サービスを試行した。
使用したドローンを前に、撮影に応じる(左から)KDDIスマートドローン・博野雅文社長、エアロネクスト・田路圭輔CEO(最高経営責任者、NEXT DELIVERY代表取締役兼務)、君津市・石井宏子市長、セイノーHD・河合秀治執行役員
子供の風邪のため母親がオーダーしたものを届けた物流専用ドローンAirTruck
ドローンで配送されたものを確認する住民
君津市は都心に隣接しているものの、人口は平成7年(1995年)の9万3216人をピークに、令和2年(2020年)には8万2206人まで約1割減少。市の老年人口(65歳以上)の割合は20年に32.1%まで達し、中山間地域の清和地区や上総地区では50%を超えていて、今後もさらに上昇することが見込まれる。高齢者の買物支援が地域課題として存在している。
「2024年問題」の影響で中山間地域向けの輸配送の質維持が困難となり、地域住民の利便性低下が危惧されているため、清和地区でドローンなどを生かした物流の実証実験に踏み切った。
今回の実証実験は買い物代行配送サービスを実施。清和地区に住む1世帯を対象に、子供が風邪をひいてしまった状況を想定し、子供向けに緊急物資を空輸した。清和地域拠点複合施設を仮設のドローンデポとして使い、宿原地区まで日用品のドローンで配送した。
今回のドローン配送の実証はエアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckを使用し、機体の制御にはKDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを採用した。
清和公民館から宿原青年館までの片道約7㎞の距離を約21分で、子供の風邪を想定した日用品、ドリンクなどの詰め合わせを無事ドローン配送した。
ドローン配送で宿原青年館まで届けられた子供の風邪を想定した日用品やドリンクなどの詰め合わせ
(藤原秀行)※いずれもNEXT DELIVERYなど提供