アスクル倉庫火災、控訴審の東京高裁は賠償94億円に増額

アスクル倉庫火災、控訴審の東京高裁は賠償94億円に増額

火災保険金の控除認めず

アスクルが埼玉県三芳町で運営していた大型物流施設「ASKUL Logi PARK首都圏」で2017年2月に発生、建物が全焼した火災をめぐり、同社が古紙回収大手の宮崎(愛知県清須市)の過失が原因だったとして約101億600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高等裁判所は2月8日、一審(東京地方裁判所)と同じく宮崎の過失を認めた上で、賠償額を一審判決の約51億1900万円から増額し、約94億2600万円を支払うよう宮崎に命じた。

アスクルは、同センターの端材置き場で使用済み段ボールなどを継続的に宮崎へ引き渡していたが、出火当日、宮崎の従業員がフォークリフトの不適切な使用などで火災を引き起こしたと主張。両社間で賠償の協議を進めたが物別れに終わり、アスクルが20年8月に損賠賠償を求めて東京地裁に提訴した。

一審判決はアスクルが火災保険金と受け取った分を賠償請求額から控除したが、控訴審は相殺分を認めなかった。

判決を受け、アスクルは2月8日、「内容を十分に精査し(今後の対応を)決定いたします。当社業績への影響を含め、本判決について今後開示すべき事項が発生した場合には速やかにお知らせいたします」とコメント。

一方、宮崎は「判決内容を確認、精査した上で適切に対応してまいります」と表明した上で、「損害賠償金の全部を担保する損害保険に加入しております。本判決による損害賠償金支払いが今後も当社業務に影響を及ぼすことはございません」との談話を出した。

(藤原秀行)

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