6カ月継続使用、エンジン性能や燃料供給システムへの影響精査
日本郵船は5月16日、シンガポールを拠点に海事産業の脱炭素化を目指す非営利団体「Global Centre for Maritime Decarbonisation」(グローバル・センター・フォー・マリタイム・デカボナイゼーション、GCMD)と共同で、バイオ燃料がエンジン性能や燃料供給システムに与える影響を精査する「プロジェクトLOTUS」を開始したと発表した。
本プロジェクトは同社が運航する自動車専用船でバイオ燃料を今年6月から6か月間、継続して使用する。
バイオ燃料の安全利用に関するガイドラインの策定、追加メンテナンス費用を含めたバイオ燃料使用時に必要となる総費用の算定、バイオ燃料の継続使用による潜在的な課題の特定と緩和策の提言に取り組む。
バイオ燃料は既存の舶用エンジンや燃料供給設備をそのまま利用できるため、重油からゼロエミッション燃料への過渡期で温室効果ガスの排出を削減する有力な手段とされている。
過去10年間、実航海で様々なバイオ燃料の試験が行われてきたが、主に燃料特性と温室効果ガス排出削減効果に焦点が当たっており、バイオ燃料の長期的・継続的な使用がエンジン性能や燃料供給システムに与える影響については精査されてこなかった。
また、エンジンシステムの腐食や燃料供給システムの目詰まりを防ぐための追加メンテナンスに要する費用も詳細な算定がされていなかった。日本郵船はGCMDと組み、そうした状況の改善を目指す。
プロジェクト概要
バイオ燃料使用期間:6カ月(本年6~12月)
船舶:自動車専用船
燃料:使用済み食用油などを加工して作るバイオ燃料(FAME)と低硫黄重油(VLSFO)の混合
各社役割:
・GCMD:プロジェクトマネージメント
・日本郵船:本船の運航及び燃料調達・管理
(藤原秀行)