センコーとJDSC、AIとデータサイエンス活用し物流センターの作業工数削減するシステムを共同開発

センコーとJDSC、AIとデータサイエンス活用し物流センターの作業工数削減するシステムを共同開発

「24年問題」踏まえ適正配置や作業進捗管理など運用業務自動化、7月に3センターで導入

センコーとJDSCは6月19日、物流倉庫でスタッフの工数算出や適正配置、作業進捗管理などの運用業務をAIとデータサイエンスで自動化し、生産性向上を後押しする次世代オペレーションシステム「SAIFOMW(サイフォム、Senko AI FOreMan and Woman)」を共同開発したと発表した。

「2024年問題」を踏まえ、物流倉庫の作業全体を迅速化するのが狙いで、7月1日にセンコーの国内3拠点で実際に運用を開始する。将来は全国の拠点で採用し、物流センターのオペレーションコスト低減を目指す。

センコーはこれまで現場の作業を熟知した指揮監督者「職長」が経験と勘を生かし、倉庫内の必要工数を算出して現場を運用していた。事業の拡大に伴う人材の確保と育成が長年の大きな課題となっていた。

両社は2022年1月、課題の解決に向け、AIとデータサイエンスを用い「AI職長プロジェクト」と題したテスト運用を重ね、千葉県の印西ロジスティクスセンターで物量の様相から最適な工数算出を実現し、待機時間を原資とした14%の工数削減余地を確認した。

各成果を踏まえ、オペレーションシステムの実運用に踏み切る。

「SAIFOMW」は、これまで職長が担ってきた出勤確認やシフト作成、蓄積されたビッグデータに基づく工数予測、生産性管理、進捗管理、作業員配置変更の業務をAIが担当。

具体的には、業務管理システムに格納された受発注データや生産計画を「SAIFOMW」にアップロードすることで、AIが各場所の各作業で最適な人員を算出し、職長は計算結果を基に最終的な人員配置を決定する。算出結果は日別や製品種別、雇用形態などさまざまな項目で確認できる。

両社は「SAIFOMW」導入で、これまで現場で蓄積してきた過去の知見をデータ化し、各作業を標準化・効率化することにより、現場の職長は1拠点の管理だけではなく、同エリアの複数拠点を管理することや、現場活動(コーチングや品質維持活動等)に注力することが可能になると想定。

併せて、作業員の確保が厳しい中、個人の生産性がデータ化され、各種配置推奨に反映されるため、作業員は得意な作業に従事できる可能性が高まり、作業員のモチベーションと定着率の向上に寄与する効果も見込めると期待している。


「SAIFOMW」の動作画面(両社提供)

(藤原秀行)

災害/事故/不祥事カテゴリの最新記事