今冬に米国で打ち上げ機に搭載
月面へ物資を輸送する「ペイロードサービス」の商用化を目指しているスタートアップのispace（アイスペース）は7月25日、欧州法人のispace EUROPEが拠点を置くドイツ・ルクセンブルクで、初めて独自に設計・製造したマイクロローバー（小型月面探査車）「TENACIOUS」（テネシアス）のフライトモデルを公開した。
この後、ルクセンブルクから日本に輸送し、2024年冬に打ち上げを予定している民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2で、 月着陸船「RESILIENCEランダー」に搭載する予定。マイクロローバーは、月面着陸後に展開機構を用いて月面へ着地し、自走して月面探査に挑む。
組み立てが完成したフライトモデルのマイクロローバー
ルクセンブルクのispace EUROPEで初公開されたTENACIOUS（テネシアス）ローバー
TENACIOUSは高さ26cm、幅31.5cm、全長54cm、重さは約5kg。軽量かつロケットの打ち上げなどの振動に耐える頑丈性を実現するため、躯体にはCFRP（炭素繊維複合材）を採用している。
ローバー前方にはHDカメラを乗せており、月面上で撮影が可能。特殊な月面のレゴリス（月の砂）環境でも安定した走行ができるよう、車輪の形状を工夫している。
月面に着陸したローバーへのコマンドやデータの送受信は、ランダー経由でルクセンブルクのミッションコントロールルーム （管制室）とやり取りする。
ミッション2は米フロリダ州ケープカナベラルからSpaceXが打ち上げる「Falcon9」に格納して打ち上げる予定。
（藤原秀行）※いずれもispace提供
