LegalOn Technologies、AI活用しクラウドで契約書の適正管理支援する新サービス開始

LegalOn Technologies、AI活用しクラウドで契約書の適正管理支援する新サービス開始

情報の「ナレッジ」化可能に

AIを活用した契約書の審査・管理システムなどを展開しているLegalOn Technologies(リーガルオンテクノロジーズ)は8月2日、今年4月に提供を始めた、AIを駆使して企業の法務を包括的にサポートするクラウドサービス「LegalOn Cloud」(リーガルオンクラウド)で、新たに個々の契約の周辺情報も管理できる「コントラクトマネジメント(契約管理)サービス」を始めたと発表した。

LegalOn Cloudは契約書のデータをシステムにアップすれば、企業で締結している契約書全てを一元的に管理できるようサポートしている。

コントラクトマネジメントの機能を活用すると、個々の契約書のタイトルや締結日、当時者名、契約開始日などを自動的に抽出し、データベース化。容易に検索、内容を確認できるようになる上、請求書や仕様書などの関連する文書を契約書とひも付けて保存することも可能。

取引先との締結に至った経緯や取引上のリスクなど、契約書には直接書かないものの、社内で関係者が共有しておくべき周辺の情報も管理できる。また、契約締結に関して社内でどのようなやり取りをしたかを記録しておくことにも対応している。


LegalOn Cloudの画面

同社の調査では、契約の更新拒絶期限に気づかず自動更新された経験があると答えた割合が44%、締結済み契約書の内容に違反した経験があると回答した割合は11%に上った。

さらに、95%が過去の契約書を見返したいタイミングがあると答え、そのうち契約書と合わせて確認したいものとして、締結経緯や修正履歴(47%)、注文書(43%)、交渉経緯(41%)などが挙がった。

同社は「関連情報も確認したいという強いニーズが明らかになった」と分析。コントラクトマネジメントサービスも活用することで、契約の不要な更新や契約の内容違反といったリスクを回避できるようになるとみている。

東京都内で同日記者会見したLegalOn Technologiesの角田望CEO(最高経営責任者)は「法務の仕事は単なる契約書のチェックや法務相談をこなすだけでなく、経営戦略に基づいた法務機能を持つことが求められている。これまでの法務機能は人員体制だけで何とか回してきたが、会社の機能として不可欠な法務機能を人員に依存するだけでなく、テクノロジーと組み合わせることで構築していく。このテクノロジーの部分をわれわれが担う」と強調。

谷口昌仁執行役員CPO(最高製品責任者)は「コントラクトマネジメント機能を利用することで、契約書を断片的な情報としてではなく、会社の1つのナレッジとして保存、活用できるようになる」と意義をアピールした。

今後は契約書の電子締結サービスを2024年内にリリースする予定。契約書の締結を含めた作成、審査、締結、管理に至るまでの過程をクラウド上で対応できるようになる見込み。

また、森・濱田松本法律事務所が監修する契約書の雛形や、雛形自体の解説を9月に提供開始するほか、Legalscapeと提携して法令に関する書籍を参照できるようにすることも想定している。

加えて、米国の子会社が既に提供している、生成AIを活用し、ユーザーの問いかけに対して契約書の要約や条文案を作成する「LegalOnアシスタント」を日本でも提供する方向で調整している。


会見で撮影に応じる角田CEO(右)と谷口CPO

(安藤照乃、藤原秀行)

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