ドローンのラストワンマイル配送、有効活用で従来比2割コスト削減の可能性

ドローンのラストワンマイル配送、有効活用で従来比2割コスト削減の可能性

パーソルP&Tが国交省受託事業で成果報告

パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー(パーソルP&T)は8月19日、2023年度に国土交通省から受託した「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証に関する調査業務」の成果を報告した。

同事業は9つの事業者がドローンを活用したラストワンマイル配送を社会実装するために全国9地域で「レベル4(有人地帯上空を補助者なしで目視外)飛行」「ドローンポート(専用離着陸・充電設備)との連携」「自動配送ロボットとの連携」「新たなモビリティとの連携」に関する実証実験を展開した。

パーソルP&Tは、各地域の実証実験の成果を取りまとめ、コスト比較、CO2排出量削減効果、4つの観点(事業面、技術面、制度面、社会受容性)から整理。ラストワンマイル配送の社会実装に向け、サービス事業者や行政、サービス利用者による主体的なアクションにつなげるためのシナリオをまとめた。

既存の配送方法に対し、3フェーズ(配送時、実証時、実運用時)に加え、1人の操縦者が複数の機体を運航管理する「1対多運航」を実施した場合のコスト削減効果を検証した。

その結果「レベル4飛行」では実運用時に、「ドローンポートとの連携」では多運航時にそれぞれ、既存方法の配送コストを2割程度削減できる可能性が見出されたという。

各フェーズにおけるコスト遷移を算出した結果、「レベル4飛行」は1対多運航を実現すればさらにコストを圧縮できる可能性があると分析。

一方、「新たなモビリティとの連携」は1対多運航だけでは十分なメリットを得られないため、宅配車両との共同利用や乗客が使用しない空きスペースを貨物輸送に活用することで、コスト削減効果をさらに高めることを期待できるという。

「自動配送ロボットとの連携」「ドローンポートとの連携」は、いずれも初期費用が高いため、自動配送ロボットを含めた多運航が求められると指摘している。

また、従来の車両などを用いる配送を全てドローンで代替した場合のCO2削減率は76.5%と高い効果が出た。同社は「今後、ドローンで運搬できる貨物などの重量が増えることや、機体の耐風・耐水機能の強化により、年間を通じた運航率の向上が期待されるためさらに高い削減率になると見込まれる」とみている。

また、各事業の社会実装に向けて解決すべき課題や想定される解決策、期待される効果を網羅的に把握するため、コスト分析や事業継続性などの「事業面」、機体やシステムの実用性などの「技術面」、法制度や運用ルールなどの「制度面」並びに他地域への展開可能性などの「社会受容性」の4つの観点から、各実証事業の成果・課題を下の図のように整理しました。

(藤原秀行)※パーソルP&T提供

調査報告書はコチラから(国交省公式サイト)

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