自社独自展示会で表明
KDDIは9月3日、東京都内で開催した自社グループの先進技術に関する展示会「KDDI SUMMIT 2024」で、物流向けの取り組みについて説明した。
同社ビジネス事業本部プロダクト本部の岡田宏次世代ビジネス開発部エキスパートは、AIや高速通信技術などを活用し、業務の効率化を後押しする「WAKONX(ワコンクロス)」の一環として、物流向けのサービス「WAKONX Logistics(ワコンクロス ロジスティクス)」も展開していることに言及。トラックドライバーや倉庫内作業スタッフの不足を考慮し、効率良くトラックで混載する共同物流を他の企業と行うプラットフォームを構築していきたいとの思いを強調した。
また、物流現場の自動化促進のためKDDIが椿本チエインと合弁で設立、今年4月に事業を開始した「Nexa Ware(ネクサウェア)」の西村龍平ディレクターは、目指す方向性として24時間完全自動倉庫の実現を図る考えを明らかにした。
取り組みを紹介する岡田氏
共同配送のイメージ(KDDI資料より引用)
岡田氏は「2024年問題」などを考慮し「中小企業が運賃高騰に耐え切れず、トラックが手配できなくなる、そういった事態が今日、明日起こってもおかしくなくなっている。地方の小さな会社の(トラックを手配できないという)問題が瞬く間に日本経済、世界経済の機能を停止させてしまいかねない、そんな恐ろしい未来が現実に起ころうとしている」と指摘。
その解決に向け「脆弱な生命維持装置の物流を強化する処方箋こそが物流工程のデジタル化。デジタル化した各工程を通信でつなぎ、リアルタイムな制御を可能にすることだと考えている。フィジカルインターネットに深化していけば、絶対的なリソース不足に起因する(トラック輸送能力の不足という)『2030年問題』の解決につながるかもしれない」との見解を示した。
KDDIのスマートフォンなどを取り扱う自社物流部門は既に高度な物流のノウハウを蓄積できていると自信を見せた上で「自社の高度な物流ノウハウを基盤にしていくことで(企業間の共同物流を促す)協調プラットフォームが構築可能だと考えている」と説明。
「まずKDDIの中で事業部門の垣根を越えたコラボレーションを社内で実現する。その次に当社の自動化設備など最新の物流アセットをパッケージにして、パートナー(の物流企業など)に提供してともに活用し稼働率を高め、コストを下げていく。当社の物流部門とのシェアリングコラボレーションにより、共同物流が実現できるのではないか」と前向きな見方を提示した。
Nexa Wareの西村氏は、現状として同社従業員シフト組の自動シミュレーションや庫内作業のKPI可視化、作業の予実管理・完了予測、AGV(無人搬送ロボット)のリアルタイム稼働状況把握などのサービス4種類を提供していることを説明。「荷主企業や3PLなど幅広い顧客にサービスを提供していきたい」と述べた。
今後を展望する西村氏
(藤原秀行)