サスティナブルフードチェーン協議会、小売店舗食品を近隣地域のこども食堂などに寄贈するモデル確立へ実証実験

サスティナブルフードチェーン協議会、小売店舗食品を近隣地域のこども食堂などに寄贈するモデル確立へ実証実験

ライフコーポなどと連携、店舗の冷蔵食品ロス削減目指す

一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会(SFA)は9月13日、ライフコーポレーション、子供の機会格差解消を目指すネッスーの両社と連携し、小売店舗で出る、まだ食べられるのに販売できなくなった農産品(野菜・果物)や日配食品の寄贈モデルを確立するための実証実験を行うと発表した。

環境省の「令和5年度(2023年度)食品の消費行動に伴う食品ロス削減対策導入モデル事業」に採択された事業として実施する。

実証実験はライフコーポレーションの東京都足立区の店舗で実施し、近隣地域のこども食堂や支援を必要とするひとり親世帯などに食品を寄贈する。

実証実験の結果を踏まえ、ライフコーポレーション・ネッスーと連携し、多くの地域で食べられるのに販売期限が過ぎた生鮮食品や日配食品の寄贈促進モデルとして横展開することを目指す。

SFAは食品産業サプライチェーン全体で食品ロス削減や子どもの食の福祉への貢献に注力してきた。活動の経験から得た多様な食品寄贈のルール形成や知見、基礎自治体や社会福祉協議会、NPO法人をはじめとする子ども支援団体などのステークホルダーとのネットワーク、SFA会員企業や小売業界団体との連携による寄贈先団体との連携・調整を進める。

■実証実験の概要
環境省「令和5年度 食品の消費行動に伴う食品ロス削減対策導入モデル事業」

環境省では、外食時の食べ残しの持ち帰り(mottECO)や飲食店・小売店などにおけるフードシェアリングをはじめとした、消費者が参画・関与する売れ残り食品の廃棄防止などの取り組みを支援する「食品の消費行動に伴う食品ロス削減対策導入モデル事業」を実施。

■実証実験の目的
食品ロスの発生を抑制しつつ、社会福祉を増進することを目的として、スーパーなどの小売店で賞味期限・消費期限が短いといった理由でまだ食べられるのに販売できなくなった農産品(野菜・果物)・日配食品を、支援を必要としているこども食堂などの団体やひとり親世帯などに寄贈する方法の確立を目指す。

小売店では、需要予測発注の精緻化などで食品ロス発生の抑制に取り組んでいるものの、どうしても一定の廃棄が発生してしまう。そのため、こども食堂などに寄贈することで、食品ロス削減だけでなく、近隣地域への貢献も併せて実現する手法が取られることが増えてきた。

一方で、温度管理が必要な賞味期限・消費期限が短い生鮮食品・日配食品は、期限内に寄贈先に受け渡して使用してもらうことが難しく、小売店における寄贈は常温保存が可能で賞味期限が比較的長い加工食品が中心となっており、食品ロス削減効果は限定的だった。

加えて、寄贈先となるこども食堂などの団体の活動は月に1~2回のことが多く、寄贈を実行できる日が少ないのも食品ロス削減効果が上がらない要因になっている。

実証実験でSFAは、寄贈先団体との連携・調整を行い、ネッスーの開発する食品寄贈プラットフォームを活用し、ライフコーポレーションとの連携体制の下、リアルタイムで寄贈商品情報を発信し当日中に店舗近隣のこども食堂やひとり親世帯などへ寄贈する体制を構築、賞味期限・消費期限の短い農産品(野菜・果物)・日配食品の寄贈を実現することで、食品ロスの大幅な削減と、より多くの支援を必要とする人への食品寄贈の両立を図る。

■実証実験の概要
実施店舗:ライフ扇大橋駅前店
対象:農産品(野菜・果物)・日配食品 
期間:2024年10〜11月
参加者:近隣地域のこども食堂 4団体 / 支援を必要とするひとり親世帯等 20世帯程度
実施主体:ネッスー、ライフコーポレーション、SFA
連携自治体:足立区


実証実験の全体スキーム

【ライフコーポレーション】
①店舗で発生した寄贈可能な農産品(野菜・果物)・日配食品の情報をネッスーのマッチングプラットフォームに登録
②寄贈商品を店舗敷地内に設置した受け渡し用冷蔵庫に格納

【ネッスー】
③マッチングプラットフォームに登録された寄贈商品の情報を、実証実験参加者へリアルタイムに提供

【実証実験参加者】
④マッチングプラットフォーム上でほしい商品を選択
⑤店舗に行き、スマートフォンに配信された開錠キーで受け渡し用冷蔵庫を開け、商品を受け取る

(藤原秀行)※いずれもSFA提供

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