【物流展探究】ダイフク・下代社長、社員の10%をデータサイエンティストに育成目指す

【物流展探究】ダイフク・下代社長、社員の10%をデータサイエンティストに育成目指す

2030年までの目標、物流など向けの完全自動化ソリューション実現図る

ダイフクは9月10日、「国際物流総合展2024」が開幕したのに合わせて、会場の東京・有明の東京ビッグサイト内で記者会見し、製造業や物流業など向けの自動化機器を取り扱うイントラロジスティクス事業の戦略と最新製品を説明した。

下代博社長は今年5月に公表した長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」と「2027年中期経営計画」にあらためて言及。イントラロジスティクス事業で30年を目標に完全無人化のソリューションを提供できるようにしたいとの考えを強調した。

その実現に向け、イントラロジスティクス事業や空港向け手荷物搬送システムなどの「エアポート」、半導体生産ライン向けの「クリーンルーム」、自動車生産ライン向け搬送システムなどの「オートモーティブ」といった各事業全体で30年までに従業員の10%をデータサイエンティストに育成する意向を示した。

2027年中期経営計画はKPI(実績評価指標)の1つに、グローバルで24~27年度にデータサイエンティストなどの専門人材を累計で180人育成する方針を掲げており、さらに上積みしていく形になる。


会見する下代社長

下代社長は「1968年に会社初のスローガンとして『無人への挑戦』を掲げ、これまで工場や物流センターなどの自動化・効率化に貢献してきた。しかし、人手不足はさらに進んでいる。この状況に対応するためには完全無人化の実現しかないと思っている。大変高いハードルではあるが、これまでの数々の日本初、世界初を実現してきたダイフクがさらに成長し続けるためには、挑戦しなければならない目標だと考えている」と述べた。

データサイエンティスト育成に関しては「データ的に裏付けを持って新たな製品を生み出していく、それが完全無人化につながると思っている」と語った。

会見に同席したダイフクの鳥谷則仁常務執行役員は、最新機器として搬送・仕分けを自動化する「SOTR(Sorting Transfer Robot、ソーティングトランスファーロボット)」シリーズ3機種を紹介。パレット積みの荷物を1000kgまで持ち上げて搬送する「SOTR-L」、ケースやコンテナを20kgまで運ぶ「SOTR-M」、ピース単位で高速自動仕分けが可能な「SOTR-S」と、用途やシーン別に対応できる点を強調した。


(上から)「SOTR-L」、「SOTR-M」、「SOTR-S」(いずれもダイフク提供)

鳥谷氏はまた、イントラロジスティクス事業の戦略として、将来はデバンニングや梱包、トラックへの積み込みの各工程を担えるロボットも開発していく計画を報告。2030年の完全自動化ソリューション提供へ「袋ものや冷凍ものなど、どんどんとロボットがハンドリングできる範囲を増やす形で自動化のレベルを上げていきたい」との決意を語った。


会見する鳥谷氏

ダイフクは国際物流総合展の自社ブースで、自動車生産ライン向けの最新AGV(無人搬送ロボット)「TRVS(トラヴィス)」などをお披露目した。独特の縦に長い形状で、最大6.5tをけん引することが可能。部品が重くなっているEV(電気自動車)のラインにも対応できるという。

(藤原秀行)

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