ANAが成田空港の新貨物上屋を公開、国内航空会社初のAGV採用

ANAが成田空港の新貨物上屋を公開、国内航空会社初のAGV採用

6.1万㎡、医薬品専用庫導入など取扱量増大目指す

全日本空輸(ANA)は10月16日、千葉県成田市の成田国国際空港の貨物ターミナル地区に新設した貨物上屋「第8貨物ビル」をメディアに公開した。ANAは新上屋を「ANA Cargo Base+」(ANAカーゴベースプラス)と命名した。

これまで同空港内の6カ所に分散していた貨物上屋を、第8貨物ビルと隣接する第7貨物ビルの2カ所に集約。AGV(無人搬送ロボット)60台などの自動化設備も導入し、10月21日に供用を開始、業務の効率化・省人化を図る。同空港を運営している成田国際空港株式会社(NAA)からANAが建物を借りる形で運用する。

成田空港は2029年、3本目の滑走路の運用をスタートする計画。ANAは新上屋を活用し、貨物取り扱いの拡大が見込まれていることにも対応していきたい考えだ。


上屋の全景


上屋の外観

新上屋は面積が約6.1万㎡で、隣接する第7貨物ビルと合わせると約4.8万㎡に上り、旧来の上屋全体の面積から約1万㎡拡大。より多くの貨物を扱えるようにしている。

併せて、IATA(国際航空運送協会)が策定した医薬品輸送の国際的な品質認証「CEIV Pharma認証」に準拠している医薬品専用庫を設置。他の温度管理庫も含めた温度管理施設全体の面積は1644㎡で、これまでの5倍に拡充している。


温度管理施設


上屋の内部

上屋を集約することで、ANAが同空港で取り扱う貨物量をこれまでの25%増の年間約50万tまで増強することを計画。さらに、三国間貨物の接続時間がこれまでの300分から最大で180分へ約4割短縮できると見込んでおり、国際航空貨物輸送の競争力を高めていきたい考えだ。

AGVはスタートアップのPhoxter(フォックスター)製のものを採用。トラックから降ろした貨物を積み付けエリアに自動搬送する。ANAによれば、国内の航空会社で空港の現場にAGVを本格的に導入するのは今回が初めてと説明している。他に自動フォークリフトを5台取り入れ、省人化を進める。

さらに、NAAが導入を推進し、輸出貨物で既に稼働させているトラックの事前予約・呼び出しシステムを、11月から輸入貨物にも適用、トラックの待機時間を削減する。


上屋内のAGV

(藤原秀行)※写真と動画はいずれもANA提供

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