省スペース化と、経験浅い人や機械苦手な人も使いやすい仕様を追求
イトーキは10月23日、小型ロボットを使って薬剤を自動入出庫できる装置と監査支援システムを一体化した薬剤自動ピッキングシステム「DAP(Drug Automatic Picking system) with MediMonitor」を、医療機器の企画などを手掛けるメディカルフィールズ(神戸市)と共同開発したと発表した。発売は2025年4月の予定。
厚生労働省が2019年に発出した「薬生総発0402第1号(通称0402通知)」に基づき、一定の条件下で薬剤師以外の人が処方箋に記載された医薬品の必要量を取り揃える行為と一包化した薬剤の数量の確認行為を行えるようになった。その一方、医療用医薬品(処方箋医薬品)の品目数は1万3000程度(2024年10月時点)にも上り、多くの品目の中から薬剤をピッキングする業務は過誤のリスクが潜んでいる。
また、薬局および医療施設に従事する薬剤師数は年々増加し25万人以上に達する半面、地域によっては薬剤師の人手不足が深刻化している。
こうした事情を考慮し、「DAP with MediMonitor」の開発に踏み切った。調剤薬局における「薬剤ピッキング」と「監査支援機能」を一体化したシステムを実現し、薬剤ピッキング業務の過誤防止と、薬剤師の人手不足解消を後押しする。
機器本体サイズ内に収めた入出庫口と作業スペースで高い省スペース化を達成。入出庫の処理スピードや作業性は保ったまま、狭小空間でも設置できるようにしている。
8つの入出庫口を備えており、作業者の作業完了を待つことなく次の薬剤をピッキング可能。各入出庫口の処理状態の識別・視認性を向上させて使いやすさにも配慮している。
さらに、AI学習機能を搭載し、一定期間の実績データに基づき庫内薬剤トレイの配置を最適化する。使用頻度の高い薬剤を入出庫口の近くに自動で再配置し、処理をより円滑に済ませられるようにしている。
現場経験が豊富な薬剤師の監修の下、制作したメディカルフィールズの監査支援システムを搭載。最新の技術を積極的に活用しつつ、幅広いユーザーに馴染みやすいレガシー技術も併せ持っているシステムで構成している。
タブレットを活用した直感的な操作性を実現し、経験の浅い人や機械が苦手なユーザーにも安心して使えるようにし、正確かつスムーズに薬剤のピッキング業務を進められるようにしている。
使用時は診療報酬明細書(レセプト)を自動作成するレセプトコンピューターにデータを入力するだけで、該当の薬剤トレイを自動で運搬し、入出庫口から取り出せる。
使用の流れ(イメージ)
発売に先駆けて11月2~3日に「パシフィコ横浜」で開催される第18回日本薬局学会学術総会 併催 企業展示会に出展する。
【製品の主な仕様】
製品名 | DAP(Drug Automatic Picking system) with MediMonitor |
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本体サイズ |
W2050×D850×H2050(基本ユニット)
W1055×D850×H2050(連増ユニット) |
搭載可能なトレイ数 |
148トレイ(基本ユニット)
112トレイ(連増ユニット)最大3連まで連結可能 |
トレイサイズ | W125×D250×H75(外寸) |
電源 | AC100V±10V(50/60Hz) |
価格 |
機器仕様や保守契約など導入計画に合わせて提案。
監査支援機能はサブスク販売での提供となる。 |
製品URL |
https://www.itoki.info/products/other/dap/ ※10月31日(木)公開予定。 |
(藤原秀行)※いずれもイトーキ提供