3省関係審議会が合同会議、25年4月から2段階の施行目指す
経済産業、国土交通、農林水産の3省は11月11日、東京都内で、「2024年問題」対策のため荷主企業や物流事業者にトラックの荷待ち・荷役時間短縮を図るよう義務付けることなどを柱とした改正物流総合効率化法(施行後は名称を物資流通効率化法に変更)に関し、業務効率化推進に関する基本方針などの詳細を議論する3省関係審議会の合同会議を開いた。
3省はパブリックコメント(一般からの意見募集)の結果を踏まえ、前回会議で示した基本方針などの取りまとめの原案を修正したものをあらためて提示。出席者から大筋で了承を得た。
合同会議の様子
CLOの業務と役割「ガイドライン等で分かりやすく示すことが求められる」
取りまとめ案は荷待ち・荷役時間短縮に向けた具体的な方策を盛り込んだ中長期計画の作成と進捗状況の定期報告を義務化する「特定事業者」の条件として、荷主や連鎖化事業者(フランチャイズチェーンを展開する事業者)は取り扱う貨物の重量が年間9万t以上、倉庫業者は貨物の保管量が年間70万t以上、トラック運送事業者は保有車両台数が150台以上と設定している。
併せて、「施行後の事業者への浸透状況や今後の状況変化等を踏まえ、必要に応じて見直すことも考えられる」と記している。
また、特定事業者に指定された荷主と連鎖化事業者に選任を義務付けるCLO(物流統括管理者)の業務内容に関し「基本として、重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任されることが必要」と指摘、役員から選ぶことを強く求めている。
加えて、荷待ち時間短縮などを推進する中長期計画の進捗状況の定期報告作成、発注・発送量最適化に向けた社内の関係部門間の連携体制構築、ドライバーの運送・荷役効率化のための設備投資などを盛り込んだ事業計画の作成などを列挙している。
並行して、CLOの業務と期待される役割について「今後、ガイドライン等で分かりやすく示していくことが求められる」と強調、広報の重要性を訴えている。
改正法の大前提となる基本方針は、令和10年度(2028年度)までの目標として、日本全体のトラック輸送のうち、5割の運行で荷待ち・荷役などの時間を1時間減らし、ドライバー1人当たりでは年間125時間短縮することや、日本全体のトラック輸送のうち5割の車両で積載効率を50%まで高め、全体では44%まで改善させることを設定。
さらに、1運行当たりの荷待ち・荷役などの時間が全国平均で計2時間以内になるようにすること、フィジカルインターネットの実現を図ることなどもあらためて示している。
改正法は今年4月、通常国会で可決、成立した。3省は同日の合同会議で委員から出た意見も踏まえ、正式な取りまとめ内容を近く公表。その上で、政省令の交付などを順次進め、改正法のうち基本方針などの部分は25年4月、特定事業者の指定やCLO選任などの部分は26年4月に施行する予定。
合同会議の座長を務める根本敏則敬愛大学特任教授は、合同会議の終了に際して「最終取りまとめや政省令交付など、(改正法施行の準備完了まで)あと少しだが、緊張感を持って作業を進めていきたい」と語った。
(藤原秀行)