委託先ドライバーに超過勤務分支払わないなど不当行為の疑い
公正取引委員会がオフィス家具大手のイトーキに対し、商品の配送を委託した運送会社数十社に正当な料金を支払わなかったなどとして、近く独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで警告を出す方向で最終調整していることが分かった。
関係筋によると、イトーキは年度末の繁忙期などに委託先のトラックドライバーがあらかじめ契約で定めた時間を超えて勤務しても、その分の料金を払っていないことが判明したほか、家具の梱包材の引き渡しなど配送以外の付帯業務も無償で行わせていた疑いを持たれているとみられる。
公取委は、イトーキの一連の行為が、荷主側の不公正な取引方法を定めた「物流特殊指定」に該当するとみて、調査を進めているもよう。
イトーキの広報IR部はロジビズ・オンラインの取材に対し、今年6月ごろから公取委の調査が始まったと認めた上で「まだ公取委の公表前なので詳細はお話しできないが、必要な協力を続けており、今後も全面的に協力する」と語った。
物流分野の取引は下請法の適用対象ではなかったが、公取委は荷主との取引で弱い立場に陥りがちな運送事業者を保護するため、2004年に荷主側の不公正な取引方法を「物流特殊指定」として定め、独占禁止法に違反する行為と明示している。
物流特集指定を適用して警告を出せば、09年4月以来、3件目となる。
公取委は今年6月には、製品の配送を依頼した運送事業者への代金を不当に減額するなどした疑いがあるとみて、住宅設備卸大手の橋本総業へ立ち入り検査を実施、物流特殊指定では初めて行政処分を出すことを視野に入れて審査している。
(藤原秀行)