軽油規格に適合、公道走行可能な混合比率として最高水準達成
ユーグレナは12月18日、軽油にHVO(Hydrotreated Vegetable Oil、水素化植物油)51%を混合した次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を開発、供給を開始すると発表した。
HVOを51%混合した「サステオ」は軽油規格に適合し、軽油と同様にディーゼルエンジン車の公道走行に使える。
HVO51%混合の「サステオ」イメージ
同社は気候変動問題の解決促進のため、日本初となるバイオジェット・バイオディーゼル燃料製造実証プラントを建設・稼働させ、陸・海・空の全領域で環境負荷が低い航空燃料SAFと次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を2023年末までの累計で93件以上供給してきた。
現在、マレーシアで最大1万2500バレル/日(約72.5万KL/年相当)の製造能力を備えたバイオ燃料商業プラントの建設・運営プロジェクトを推進するとともに、将来のバイオ燃料需要拡大を支える持続可能な原料の選択肢として、微細藻類由来油脂の大規模生産に関する研究開発を進めている。
HVOは国内の需要拡大に応えるため、国際持続可能性カーボン認(International Sustainability & Carbon Certification、ISCC)の認定を受けている再生可能燃料供給企業の香港EcoCeres社(エコセレス)とパートナーシップを組んでいる。
HVOは、バイオマス(生物資源)原料を水素化処理した燃料。現状のエンジンなどをそのまま使えるドロップイン燃料として、軽油と混合、単独のいずれでも利用することが可能。石油由来の軽油使用時と比較してCO2排出量の削減効果が高く、脱炭素社会実現に貢献する燃料として欧州を中心に利用が拡大している。
ただ、100%のHVOは日本の地方税法第144条、いわゆる軽油取引税が定める軽油の密度の下限値を下回るため、公道走行に使用するためには、この地方税法に基づき、製造承認を受けている施設で軽油と混合して軽油規格に適合させる必要がある。
軽質なHVOは、その混合比率が上がるほど地方税法上の軽油密度に適合させることが難しいため、軽油規格に安定的に適合させるため、ユーグレナはこれまでHVO20%混合の「サステオ」を主として供給してきた。
HVOおよび軽油における密度規格イメージ(EN15940規格は欧州標準化委員会が定義するHVOなどの規格)
よりCO2排出量削減効果が高く、かつ軽油規格に適合した燃料の必要性を重視し、高濃度にHVOを混合した燃料の密度をコントロールすることで、軽油規格に適合させたHVO51%混合の「サステオ」を開発するに至った。
HVO51%混合の「サステオ」に使用しているHVOはISCCの認定を取得済み。国際的にも持続可能な燃料として認められているほか、改正省エネ法の特定荷主および特定輸送事業者がHVO51%混合の「サステオ」を専用で車両に使用する場合、バイオ燃料の混合割合が過半を占めることとなり、同法で提出が義務付けられている中長期計画書における「非化石エネルギー自動車」として報告できるという。
HVO51%混合の「サステオ」を使用することにより、CO2削減量当たりのコスト低減が可能になり、より効率的に温室効果ガス排出量の削減に貢献でき、脱炭素化が促進されることが期待されます。
いすゞ自動車が栃木工場および藤沢工場(神奈川)で運行するシャトルバスの燃料として、HVO51%混合の「サステオ」を使用し、石油由来の軽油およびHVO20%混合の「サステオ」と同様に走行に問題ないことを確認している。
(藤原秀行)※いずれもユーグレナ提供