JERAグループと連携、25年度中に事業開始目指す
ヤマトホールディングス(HD)は1月8日、物流領域の脱炭素を支援するため、再生可能エネルギー由来の電力調達・供給などを担う新会社「ヤマトエナジーマネジメント」(YEM)を1月7日付で設立したと発表した。
ヤマトグループは昨年10月、企業のEV(電気自動車)導入を包括的に支援する「EVライフサイクルサービス」を始めるなど、脱炭素領域への取り組みを強化している。新たに東京電力グループと中部電力が折半出資している発電大手のJERAグループと連携し、2025年度中にEVを活用する物流事業者など向けに電力供給を始めたい考え。
YEMが目指す姿
ヤマト運輸は昨年10月、JERAと物流の環境負荷低減へ再生可能エネルギー由来電力設備の最適活用などに関する基本合意書を締結していた。
YEMの社長にはヤマト運輸コーポレートグリーンイノベーション開発部の森下さえ子標準化・政策連携推進課長が就任した。
YEMはヤマトグループの拠点に設置した太陽光発電設備や地域の発電所で生み出した再生可能エネルギー由来の電力を調達。電力小売事業者としてEVを保有する企業などに供給することで、環境負荷を抑え経済性が高い電力を提供し、物流などの企業の脱炭素を促進。地域の発電事業支援による活性化も目指す。
併せて、ヤマトグループの拠点にも再生可能エネルギー由来電力を送ることを想定しているほか、日本卸電力取引所を通じて電力を調達することも念頭に置いている。
JERA子会社で企業の脱炭素戦略支援を担っているJERA Cross(ジェラクロス)がYEMに協力し、電力の需要量と供給量のバランスを取ることで再生可能エネルギー由来の電力を安定的に供給できるようサポートする。
事業の体制(いずれもプレスリリースより引用)
YEMはヤマトグループが独自に開発したエネルギーマネジメントシステムを活用し、顧客企業の電力利用が一定期間に集中しないよう適切に制御することも計画している。
東京・霞が関の国土交通省内で1月8日に記者会見したYEMの森下社長は「再生可能エネルギー利用を通じた地域社会発展を図り、新しい電力の形をヤマトグループとして築いていきながら脱炭素に貢献したい。ヤマトの全国ネットワークを活用し、再生可能エネルギー由来の発電能力があっても消費しきれず取りこぼされている地域で需要と供給を結び付けたい」と意気込みを語った。
会見した森下氏
(藤原秀行)