年頭会見で改正物流関連2法のKPI達成貢献に決意表明
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の大橋徹二会長(コマツ会長)は1月15日、東京都内で2025年の年頭に当たって記者会見し、活動方針などを発表した。
この中で、荷主企業や物流事業者にトラックドライバーの待機時間削減を図るよう義務付けることなどを柱とした改正物流関連2法が2025年度から順次施行されることを踏まえ、同法で政策のKPI(重要行政評価指標)として設定しているドライバーの荷待ち・荷役作業時間短縮やトラック積載率改善の達成に資する活動を推進していく姿勢を強調した。
会見に臨む大橋会長
改正物流関連2法は、荷主企業や物流事業者に物流拠点での荷待ち・荷役時間短縮を図る業務効率化の計画を策定するよう努力義務を設定することなどが軸となる改正物流総合効率化法(物効法、法施行後は物資流通効率化法に名称変更)と、元請けの物流事業者に対し具体的にどのような下請けの事業者に業務を発注しているかや、どのような内容で業務を発注したかを記録する「実運送体制管理簿」の作成を義務化することなどを盛り込んだ改正貨物自動車運送事業法。
いずれも24年の通常国会で可決、成立し、現在は政府が関連する政省令の策定作業などを進めている。改正物流関連2法のKPIとして、施行から3年で、19年度の実績より荷待ち・荷役時間を平均で年間125時間/人削減することと、積載率向上による輸送能力を16%増やすことを設定している。
大橋会長は会見の冒頭、25年の抱負として「今後もロジスティクスの高度化と普及の推進を通し、わが国産業と国民生活の持続可能な発展に向けて活動してまいる所存だ」と説明。
その上で、改正物流関連2法について「ロジスティクスが達成すべき目標はもちろん、社会的課題に関し、ロジスティクスの役割を明確に定められたのがエポックメイキングなことだったと考えている」と評価した。
JILSとして、ロジスティクスの目標は需要と供給の適正化、顧客満足度向上、社会的課題への対応を実現することで、物流はこの目標を達成するための手段として位置付けていると指摘。改正物効法は「物流現場の問題をロジスティクスという経営戦略で解くことを趣旨とするものと考えられる」との見解を示した。
また、改正貨物自動車運送事業法に関連し、15年から5年間のデータを見ると、規模の小さな運送事業者と大きな運送事業者の間で、経常損益率の差が年々広がっていることがうかがえると分析。「実際に汗を流して荷物を運ぶトラックドライバーの待遇にも直接影響を与える、物流業界の持続可能性を脅かす深刻な問題であり、早急な改善が必要不可欠と考えている」との問題意識を表明した。
JILSの25年の活動方針として持続可能な社会の実現など3点を設定していることにあらためて触れた上で、改正物流関連2法への対応について「特にKPIとなっているトラックドライバーの滞留時間短縮、積載効率向上に資する活動を重点的に展開していきたい。社会の要請に応えるべく、当協会の役割をしっかりと認識し、取り組みを前身させていく」との決意を語った。
(藤原秀行)