兵機海運は「既存ビジネスの構造では収益性改善難しい」

兵機海運は「既存ビジネスの構造では収益性改善難しい」

富洋海運グループの堂島汽船、株式買い増しの目的など公表

富洋海運グループの堂島汽船は1月16日、兵機海運の株式を継続して買い増している件に関し、その目的などを公表した。

TOB(株式公開買い付け)を実施した後、株式市場で買い付けている点について、TOBの際に表明した、兵機海運との早期の資本業務提携に向けた発言力強化から目的は変わっていないと説明。

 
 

富洋海運グループの強みとして、国際的な海運会社・荷主企業との取引、高度な安全基準が求められる石油タンカーの管理を通じた各種船型の船舶管理ノウハウなどを列挙。「富洋海運グループとの業務提携は新たな収益の確保となり、既存の商圏は維持しつつ企業価値向上を自ずと実現できる」などとアピールし、あらためて提携を検討するよう兵機海運に訴えている。

堂島汽船は「改善に取り組みたい、兵機海運を取り巻く課題」として、外航船を1隻しか保有していないため外部から船舶を借りるためのコストが膨らみ、外航事業へのニーズが高まっているにもかかわらず収益を積み上げられなかったなどと指摘。

「既存ビジネスの構造では収益性の改善が難しいように見受けられる」などと解説している。これまでの兵機海運の経営内容について、批判的なトーンで説明している印象を受ける。

「上場企業として企業価値向上を促進するためには、兵庫県を中心とした限られた地域での商圏にとどまるのではなく、それ以外の領域にも目を向けることが必要」などと主張。

富洋海運グループが兵機海運に対抗する形で、大和工業グループとの提携に動いていることに関しては「(大和工業グループへの)売上が3割近くを占め、有価証券報告書において長年にわたり、特定の取引先(高売上比率先)の動向が事業等のリスクとして述べられている」と言及している。

兵機海運によると、堂島汽船は2024年12月23日付で、議決権ベースで10.16%を保有、筆頭株主に躍り出た。富洋海運の持つ2.11%と合計すると12.27%に達した。

 
 

(藤原秀行)

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