今後はECサイトでも受け付け検討
カクヤスグループは3月13日、東京都内の本社で記者会見し、傘下のカクヤスが2024年6月に開始した、家庭や飲食店から出る廃食用油を回収して環境負荷の低いSAF(持続可能な航空燃料)やC-FUEL(バイオディーゼル燃料)に再資源化する取り組みの進捗状況を報告した。
カクヤスは首都圏を中心に酒類・食品などの飲食店向け販売を展開するとともに、一般家庭向けに店舗「なんでも酒やカクヤス」を運営。いずれも自社で運営している配達サービスが強みとなっている。商品を配達で届けたり、店頭で商品を購入してもらったりした際に、資源として廃食用油を買い取り、購入代金から差し引いている。回収は500ml以上のペットボトルや一斗缶で行っている。
回収を円滑に行うために、廃棄物の再資源化に関するコンサルティングを手掛けるイーコス(東京都千代田区内神田)が運営を支援しているほか、廃食用油の再資源化はレボインターナショナルが担っている。
カクヤスグループは会見で、今年2月までの約9カ月間の累計でペットボトル4442本、一斗缶8094本の廃食用油を回収したと説明。重量では約92tに達した。全体の約8割が飲食店から回収できた分という。同社は、全量をSAFの精製に充てた場合、航空機1台が東京~沖縄間を飛行できる量と試算している。
レボインターナショナルはこれまで、カクヤスが回収した廃食用油について、京都府宇治田原町の自社工場でC=FUEL製造に活用してきており、今後は自社工場でSAFの製造にも充てる計画。
カクヤスグループは今後、新たな取り組みとして、ECサイト経由でも廃食用油の回収を受け付ける仕組みの構築を検討する。
会見ではカクヤスグループが併せて、廃食用油を回収する際、飲食店や消費者にお願いしたい点をアピール。ペットボトルや一斗缶に7割程度入れることやふたをしっかり閉めること、揚げ物のかすは取り除くことなどを訴えた。また、常温で固体となるラードやパーム油などは回収できないため、サラダ油などと混ぜないよう求めた。
記者会見でカクヤスグループ経営戦略部の五十川里子サステナビリティ推進課長は「廃食用油は捨てるものではなく集めるもの、環境に優しい資源との価値観を今後広めていきたい。飲食店の店舗数増加に伴い、今後さらに加速して回収できるのではないかと考えている」と意気込みを語った。
同席したレボインターナショナル炭素源循環推進部推進課の永田唯営業2係長は「廃食用油は海外に流れている分が多い。今後さらに(国内で)回収できる分は十分あると考えている」と語った。
会見で廃食用油回収への協力を呼び掛ける(左から)レボインターナショナル・永田氏、カクヤスグループ・五十川氏、イーコス・堀田一徳事業開発室長
(藤原秀行)