既存重油船より輸送単位当たりのCO2排出量20%以上削減見込む
三菱重工業グループの三菱造船は3月21日、メタノール燃料を用いるRORO船計3隻をトヨタ自動車系のトヨフジ海運(愛知県東海市)、宮崎産業海運(大分県津久見市)、日徳汽船(広島市)から追加で受注したと発表した。
3隻は山口県下関市の三菱重工業下関造船所江浦工場で建造。2028年度から順次、完成して3社に引き渡す予定。
長さ約168.0m、幅約30.2m、総トン数約1万5750トン。乗用車約2300台の積載能力を有することを計画している。
契約調印式に臨んだ(左から)トヨフジ海運・竹内栄司社長、宮崎産業海運・宮﨑昇一郎社長、日徳汽船・日浦公德社長、三菱造船・上田伸社長
船首には風防スクリーンと垂直ステムを採用して推進抵抗を低減、高効率プロペラおよび抵抗低減型高性能舵を組み合わせた三菱造船独自の省エネシステム技術を取り入れ、燃費を改善する。
主機関には、メタノールとA重油それぞれを燃料として使用できる高性能デュアルフューエルエンジンを搭載し、トヨフジ海運所有の既存重油船と比較して、輸送単位当たりのCO2排出量を20%以上削減できると見込む。
将来は持続可能なバイオマス由来や、回収したCO2と再生可能エネルギーで生成した水素との合成燃料「グリーンメタノール」を活用し、ライフサイクルを含めたCO2排出量をさらに減らすことも可能とみている。
メタノールを燃料とするRORO船は、世界を航行する外航船で既に運航が始まっている。日本国内を航行する内航RORO船の建造としては2024年6月に三菱造船が受注したメタノール燃料RORO船2隻に続くものとなる。
従来船より積載台数を大幅に増やし、1航海当たりの輸送能力を増やすことで、配船スケジュールに余裕が生まれ、乗組員の休暇・休息時間確保につなげられると見込む。
■新造船の主要目
(藤原秀行)※いずれも三菱造船提供