製造委託先へ不当に返品、支払い遅延で指導も受ける
公正取引委員会は4月21日、大手金属商社の佐藤商事に対し、金属製品の製造を委託している取引先から製品を受け取った後、品質検査をしていないのに瑕疵があると主張して受け取らず返品していたのは、下請法に違反するとして、再発防止を勧告した。
併せて、委託先への代金を商品受け取りから法定の60日以内に支払っていなかったことについても、下請法で禁じる「下請代金の支払い遅延」に当たると判断、再発防止を指導した。
公取委によると、佐藤商事は2023年2月から24年4月にかけ、産業機械の金属部品などの製造を委託した19社に、商品を受け取った後、品質検査をせず、穴や傷があったことを理由に返品した。その代金は約1435万円に上った。
また、取引先81社と代金を納品の締め切りから最長5カ月後に現金で払う制度を運用していた。支払い遅延分は約3277万円。
佐藤商事は公取委の指摘を受け、返品分の代金と支払い遅延分を委託先に支払った。
佐藤商事は同日、「取引先様をはじめ関係者の皆様には、ご迷惑とご心配をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます」と謝罪するコメントを発表。
この中で、勧告に関しては「取引先様と取り交わした購買基本契約書をもって、取引先様に受入検査を委託していると誤った認識をしておりました。その結果、当社での受入検査の実施、または取引先様への書面での受入検査の委託を実施出来ていない状態で、不具合のある商品を返品しておりました。なお、実際に不具合品を返品する時は、取引先様に不具合状況を確認していただいた上で返品しておりました」と釈明。
指導については「本来一括決済方式(ファクタリング等)でお支払いをすべきところ、当社の認識が不足していたこと等により、期日現金方式になっているケース、及び物品等を受領した日から起算して60日を超えた支払方法となっているケースがありました」と説明。ともに再発防止に努めると強調している。
(藤原秀行)