トヨタなど出資案浮上
トヨタ自動車系の豊田自動織機が株式の非公開化を検討していることが分かった。
関係筋によると、トヨタやグループ企業などがSPC(特別目的会社)を設置してTOB(株式公開買い付け)を実施、買収する案などが浮上しており、金融機関から買収資金の融資を受けることも視野に入れているという。
豊田自動織機は1926年発足。その後、自動車部門を分離して1937年に誕生したのがトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)で、豊田自動織機はトヨタの源流と位置付けられている。
昨年9月末時点でトヨタは豊田自動織機株式の約2割を所有し、豊田自動織機はトヨタ株式の約9%を保有している。近年は機関投資家から豊田自動織機に対し、保有資産を有効活用するよう求める声が上がっていた。
豊田自動織機はフォークリフトなど向けエンジンの排ガス性能の認証に関する不正が発覚、経営体制が問題視されたこともあり、トヨタなどは豊田自動織機の株式を非公開化し、株式市場の動向に左右されない中長期的な視点で経営を改善していきたいとの思いがあるとみられる。
ただ、豊田自動織機の時価総額は直近で4兆円を超えており、買収総額は巨額になることが見込まれるため、トヨタやグループ企業が円滑に買収資金を調達できるかどうかは現状で不透明だ。
豊田自動織機は4月26日、主要メディアが相次ぎ株式非公開化を報じたのを受け「資本効率の向上や特別目的会社を通じた非公開化などの様々な提案を受けている中、企業価値向上のため、あらゆる可能性を検討しているが、現時点で何ら決定された事項はない」との談話を発表。
トヨタも同日、「当社が(豊田自動織機に)一部出資することも含め、現在様々な可能性を検討しており、当社から公表したものではない。当社が保有するトヨタグループ株式については常に最適な在り方を検討しているが、現時点で決定した事実はない」と説明するコメントを開示した。
(藤原秀行)