2割で「法定の事項全く実施せず」
日本郵便は6月17日、全国の郵便局で法定の点呼業務が不適切な形で行われていたのを受けて国土交通省が一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を固めたことについて、行政処分を受け入れると発表した。国交省にもその旨を伝えた。
国交省は6月18日、行政処分を前に当事者から意見を聞く「聴聞」の手続きを行う予定を公表していたが、日本郵便が処分方針に異論を唱えないため、手続きは行わず6月中にも正式に処分を科す見通しだ。
また、行政処分を受ければ、全国約330の郵便局で輸配送使っている1t以上のトラックなど約2500台が使えなくなるのを踏まえ、佐川急便や西濃運輸、トナミ運輸など他の運送会社に業務を委託して配送の停滞回避を図ることも明らかにした。佐川などの同意は得ているという。並行して、ゆうパックの配達などに用いている軽車両を、トラックなどが担っていた業務に充ててカバーする。
東京都内で同日、記者会見した日本郵便の千田哲也社長は「サービスをお客様に安定的にご提供できるよう、オペレーション確保に万全を期す」と説明、謝罪した。
会見の冒頭に謝罪する日本郵便・千田社長
日本郵便は併せて、全国の郵便局で法定の点呼が不適切に行われていた問題に関し、社内調査結果を追加で公表した。
調査対象となった、2025年の全国の郵便局の点呼業務約57万8000件のうち、必要事項を全て行っていなかったものが22%の約12万6000件に達したことを明らかにした。
一部を行っていなかったものも4%の約2万2000件に上った。
さらに、点呼の記録簿に、適切に行ったように事実と異なる記載をした「不実記載」のケースが18%の約10万2000件あった。対面で実施すべきなのにドライバー自身が酒気帯びの有無のチェックなどを実施していたのも8%の約4万7000件だった。
(藤原秀行)