川崎汽船とマレーシア企業、浮体式液化CO2貯蔵・圧入ユニットと液化CO2輸送船を共同開発へ

川崎汽船とマレーシア企業、浮体式液化CO2貯蔵・圧入ユニットと液化CO2輸送船を共同開発へ

脱炭素のニーズに対応

川崎汽船は6月17日、英国の子会社“K” LINE ENERGY SHIPPING(UK)(KLES)とマレーシアの海洋サービス事業者Yinson Production(インサン・プロダクション)が、浮体式液化CO2貯蔵・圧入ユニット(FSIU)と液化CO2輸送船を共同開発し、主に欧州域で開発が進められている二酸化炭素回収貯留(CCS)プロジェクトを共同で推進すると発表した。

CCSプロジェクトで陸上CO2受け入れ基地の用地確保が難しい場合や、同基地から貯留地までの距離が長くパイプラインの延長が必要な場合などに、洋上で液化CO2を貯蔵・圧入することが可能なFSIUを活用できると想定。

 
 

Yinsonが参画するノルウェーのプロジェクトをはじめ、複数のプロジェクトで導入を検討している。Yinson傘下のStella Maris CCS(ステラ・マリスCCS)はこのノルウェーのCCSプロジェクト権益の40%を保有している。

Yinsonは、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)や浮体式石油・ガス貯蔵積出設備(FSO)を運営しており、洋上や沖合でエネルギーを開発する「オフショアエネルギー分野」でエンジニアリング、設計、運用の経験を蓄積している。

一方、川崎汽船グループは液化ガス輸送船の保有、運航および管理で長い歴史と豊富な経験を持つ。2024年以降、KLESは世界初の本格的なCCSプロジェクトに従事する液化CO2輸送船2隻の船舶管理を手掛けている。

2018年以降、川崎汽船とYinsonはFPSO事業で協業を開始し、現在は2隻を共同保有している。FPSOとFSIUはどちらも浮体式で共通点が多く、それぞれの豊富な実績と知見を活用し、共同で欧州顧客に対してFSIUを用いた液化CO2輸送を提案していくことで合意に至った。

陸上で回収したCO2を液化CO2輸送船でFSIUまで輸送し、FSIUから海底の地下貯留層に圧入することを想定。CCSプロジェクトにおけるバリューチェーンのうち液化CO2の輸送と圧入を一体化してソリューションを提供することで、脱炭素化に貢献していきたい考え。


FSIUと液化CO2輸送船のイメージ(プレスリリースより引用)

 
 

(藤原秀行)

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