バランサーと組み合わせ高可搬・高安全性の自動搬送実現
自動化機器を手掛けるデンマークのユニバーサルロボット（UR）の日本支社は6月24日、豊田自動織機の東知多工場（愛知県半田市）が、URの協働ロボット「UR10e」を導入したと発表した。
同工場は「UR10e」と既存技術のバランサー（重量物の移動を補助する装置）を組み合わせ、従来は人手で行っていた重量物の搬送作業を自動化。安全性と効率性を両立させ、作業負担の軽減と省人化を実現したという。
（ユニバーサルロボット提供）
東知多工場はトヨタ自動車の「ランドクルーザー」や「ハイラックス」に搭載するGD型ディーゼルエンジンなどを生産している重要拠点。若手人材の確保や熟練作業者の後継問題への対応が課題となっており、生産現場のスマート化・自動化推進が急務だった。
中でも、26kgの粗材をホイスト（電動吊り上げ装置）やワイヤー・チェーン・ベルトといった吊具を用いて手作業で投入する工程は、落下リスクや作業負荷が高く、安全性と省力化の観点から改善が求められていた。
こうした状況を踏まえ、豊田自動織機が自動化機器の選定を進めた結果、安全柵が不要で既存ラインへ導入可能なコンパクトサイズであることと、小型協働ロボットによる重量物（26kg）の安定した搬送動作が可能であることが決め手となり、採用に踏み切った。
バランサーが粗材にかかる重力をサポートすることで協働ロボットの可搬重量不足をカバー。UR10eが水平・上下方向の移動と姿勢制御および内蔵力覚センサーを活用した力制御を行うことでスムーズな動作を実現している。
高可搬・高安定性を両立しながら、工場現場に求められる柔軟性・安全性・省スペース性を兼ね備えた、実用的かつ拡張性の高いソリューションを提供できているという。
新たなソリューションを導入したことで、当該作業の工数削減に加え、オペレーターが隣接ラインの作業やサポートにも対応できるようになった。豊田自動織機は今回の事例を他工場への横展開や、エンジンの上げ下ろし、コンベアー中心になっている工程など、さらに自動化を進めるモデルケースとして活用していく方向。
（藤原秀行）
