仮想桟橋で54回のテスト、今年度は大型内航船を使用
三井E&S造船、商船三井、東京海洋大、三井造船昭島研究所は7月11日、国土交通省から2018年度の自動運航船実証事業に採択された「船舶の自動離着桟の安全性に係る実証事業プロジェクト」の実証実験を18年12月~19年2月に千葉・館山湾沖で行ったと発表した。
東京海洋大の「汐路丸」を使用して海上に設置された仮想桟橋で計54回の自動着桟を実施。有用なデータを得るとともに安全を確保するための操船計画・実施要領・中止基準を策定し、シミュレーション環境などを用いてさまざまな条件下で安全性評価にも万全を期した。
19年度は大型内航フェリーによる実証実験を予定。今回の解析結果を生かして▽岸壁に船体を寄せる際(アプローチ)のコースの取り方、船速や距離における制御余裕(マージン)などが考慮された船員が危険を感じない操船制御の実現▽大型フェリーの操縦性能を考慮した適切な操船制御の実現▽自動離着桟の操船制御中に生じる機器の故障、周囲の環境条件の急激な変化などの事象に対して、自動離着桟の継続・中断判断を行うための明確な基準と中断の際に船員へ操船を引き継ぐ明確な対応指針の設定――の各課題を解決する操船制御システムの開発と試験方法の検討を十分に行った上で実施する。
今事業は4者が共同提案。自動離着桟実証プロジェクトなどの活動を通して自律航行船の実現と安全・安心な海上交通を探求していく考え。
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(鳥羽俊一)