31ftコンテナ用いた標準スキーム構築目指す
経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内に設けている「化学品ワーキンググループ」(WG、座長:流通経済大学・矢野裕児教授)の参加企業は7月29日、トラック輸送からのモーダルシフトによる化学品の輸送能力向上を目指し、今年8月から 2026年1月にかけて、東海・中国地区で鉄道輸送による化学品の共同物流実現に向けた実証実験を行うと発表した。
化学品WGには荷主事業者、日本通運やJR貨物などの物流事業者を中心とする81企業・1大学、日本化学工業協会、石油化学工業協会、経済産業省・国土交通省の関連団体や機関などが参加している。
今回は名古屋市~広島市・広島県大竹市の貨物駅を中継地点として活用。最終的には、東海・中国地区における共同物流の実現と、日本全国に展開可能な共同鉄道輸送の仕組み構築を図る。
概要図
化学品物流は貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性により、輸送方法・条件が多岐にわたり、個社単位での課題解決には限界があるため、化学品WGは2024年度に四日市市~千葉県市原市の間でトラック輸送による共同物流の実証実験を展開。トラック積載率の20pt改善、CO2排出量の28%削減を達成した。
25年度は共同物流のエリア拡大と輸送モード変更を目指し、鉄道輸送分科会参加会社の輸送データを基に、鉄道輸送による共同物流の実証実験に踏み切ることにした。
実証実験では、一般的に利用されている12ftコンテナに対して、31ftコンテナを採用。積載効率が高く、1コンテナ当たりの積載可能量が大きいことに着目している。
単独荷主では工場から消費地への輸送方向が一方向に偏るなど、効率的な運用が難しいのが課題のため、実証実験で輸送数量の多い東海・中国地区で、名古屋貨物ターミナル駅、広島貨物ターミナル駅・大竹駅を発着地として専用の31ftコンテナを複数荷主で運用し、最適な輸送に向けた鉄道輸送による共同物流の標準スキーム構築につなげたい考え。
実証概要
参加者
荷主:三菱ケミカル、東ソー、三井化学
物流会社:JR貨物、日本通運
・期間は2025年8月から2026年1月までの予定
・三菱ケミカル、東ソーからの発荷を名古屋貨物ターミナル駅発で中国地区へ輸送、三井化学からの発荷を大竹駅発で東海地区へ輸送する
・31ftコンテナを活用するために必要な各種申請、課題を抽出することで、実装に向けた標準スキームとして取りまとめを図る
31ftコンテナ(いずれもプレスリリースより引用)
化学品WGは今後、中長距離輸送におけるトラック輸送のモーダルシフト、エリア集荷・配送などの物流協力、資材・コードの標準化やペーパーレスなど物流効率化の検討を進める。
(藤原秀行)