27年に「レベル4」で輸送目指す
自動運転トラックの開発を手掛けるT2とライオン、日本通運、JR貨物の4社は8月4日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」の実証を7月29~31日に関東~九州間で行ったと発表した。
モーダルコンビネーションはT2とJR貨物が2024年11月以降、物流の脱炭素や労働力不足解消といった課題解決のため、実証を進めてきた。自動運転区間における輸送ルートの複線化を構築するほか、柔軟な輸送力の増加を可能とするなど、物流の可能性を広げるのが狙いだ。
今年6月に北海道~関西間、7月には関東~九州間で実証を順次展開してきた。
今回はライオンの商品に関する安定的なサプライチェーン機能の確立を目指し、ライオン千葉工場(千葉県)からライオン福岡流通センター(福岡県)までモーダルコンビネーションによる長距離輸送に踏み切った。
輸送の際には、JR貨物とT2で共同開発した31ft共用コンテナを使い、輸送品質やオペレーション、環境負荷をチェックした。
実証では輸送の役割として、ライオン千葉工場から東京貨物ターミナル駅(東京都)までを日本通運、同駅から百済貨物ターミナル駅(大阪府)までをT2のレベル2(ドライバーが同乗し、有事の際はすぐに運転を交代できるよう待機する)自動運転トラック、同駅から福岡貨物ターミナル駅(福岡県)までをJR貨物の貨物列車、同駅からライオン福岡流通センターまでを日本通運がそれぞれカバーした。
今回の実証のルート/担当イメージ
実証の詳細
対象区間:関東→九州の発着地(オペレーション全体としての対象)
担当企業(輸送手段) | 担当区間 |
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日本通運(一般のトラック) |
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T2(自動運転トラック) | 東京貨物ターミナル駅→百済貨物ターミナル駅の高速道路およびIC前後の一般道 |
JR貨物(貨物列車) | 百済貨物ターミナル駅→福岡貨物ターミナル駅 |
参加企業と役割:
参加企業 | 役割 |
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ライオン | 製品輸送における実証および製品輸送後の品質検証 |
日本通運 | 集貨・配達 |
JR貨物 | 貨物鉄道区間での輸送および検証 |
T2 | 高速道路・専用道路における自動運転輸送および検証 |
T2のトラックから共用コンテナを積み替える様子
今回の実証では、T2の自動運転トラックで綾瀬スマートICから久御山JCTまでの410kmの間を走行するとともに、その後の百済貨物ターミナル駅での共用コンテナの積み替え作業も遅滞なく進行した。ライオン福岡流通センターに到着した際に荷崩れなど貨物への影響もなく、オペレーション・技術の両面で問題は発生せず、全体の運行日数は約1.8日と、計画通りに終えることができた。
4社は今後、T2が27年の開始を予定しているレベル4(特定条件下での完全自動運転)の自動運転トラックを用いたモーダルコンビネーションも視野に入れ、BCP対応強化や輸送能力の拡大につながる取り組みを推進する。
(藤原秀行)※いずれも4社提供