T2と石油業界7社、自動運転トラックの「カーボンニュートラル燃料」利用拡大で協力

T2と石油業界7社、自動運転トラックの「カーボンニュートラル燃料」利用拡大で協力

リニューアブルディーゼルなど想定

自動運転トラック開発のT2は8月7日、出光興産株式会社、伊藤忠エネクス、宇佐美鉱油、宇佐美グループの三和エナジー、ENEOS、ENEOSグループのENEOSウイング、太陽石油の石油業界7社と、トラックドライバー不足を背景に今後普及が見込まれる自動運転トラックが、CO2排出量の削減に貢献する「カーボンニュートラル燃料」を活用できるようにするため、協力することで合意したと発表した。

燃料の試験利用を通じた給油オペレーションの改善活動など、相互に協力していくことを確認した。T2は自動運転トラックの分野で、広く石油業界とカーボンニュートラル燃料の利用拡大を推し進めていく取り組みは初めてと説明している。

カーボンニュートラル燃料は官民を挙げて普及活動が進められる一方、現状は給油スポットの数が限定されている上、一部の燃料は給油時に手続きが必要となるなど、オペレーションの煩雑さがネックになっている。

T2はドライバーの乗車を必要としない「レベル4」自動運転トラックによる幹線輸送を2027年に始めることを目標に掲げ、高速道路のインターチェンジ付近に、自動運転(高速道路)と有人運転(一般道)を切り替える拠点の開発を進めており、拠点の敷地内に給油スポットを整備しやすいとみている。

さらに、長距離輸送を前提とする自動運転トラックでカーボンニュートラル燃料を積極的に用いれば、輸送領域のCO2排出量削減に一定程度寄与できると見込まれるため、自動運転トラックは今後カーボンニュートラル燃料の利用を拡大させていく上で鍵になり得るとみている。

T2が石油業界各社からカーボンニュートラル燃料の供給をそれぞれ受けた上で、自社の自動運転トラックで試験的に利用する。まず、T2がパートナー企業と実施中の「レベル2」自動運転(ドライバーが同乗し有事にはすぐに運転を変わるよう待機している)トラックを用いた実証から採用した上で、今年7月に開始した商用運行でも利用することを検討する。

第1弾として、軽油にバイオディーゼル燃料を5%未満混ぜた「B5軽油」を宇佐美鉱油および三和エナジーから、廃食油や廃動植物油脂を主な原料とし、CO2排出量を実質100%削減可能な次世代の軽油代替燃料として期待される「リニューアブルディーゼル」を伊藤忠エネクスからそれぞれ供給を受け、住友化学グループとT2で既に始めている実証で25年中にも使う予定。

さらに、この実証の状況も踏まえながら、B5軽油を利用してもなお排出される残り95%のCO2に対してカーボンクレジットを付与することで、使用した燃料油の100%分をオフセット(相殺)できる出光興産の「出光カーボンオフセット fuel B5 軽油」(ICOF B5)の利用も視野に入れているす。


B5軽油


リニューアブルディーゼル


ICOF B5

さらに、CO2と水素を原料として石油に代替する燃料として注目される「合成燃料」は、パートナー企業との実証で将来ENEOS、宇佐美鉱油、三和エナジーおよびENEOSウイングと利用方法を検討していくほか、西日本に主要な基盤を置く太陽石油とカーボンニュートラル燃料の安定供給のあり方を協議する。


合成燃料


T2の自動運転トラック

(藤原秀行)※いずれもT2提供

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