【現地取材】「物流EXPO」、物流施設の太陽光発電利用促進ソリューションが相次ぎ登場

【現地取材】「物流EXPO」、物流施設の太陽光発電利用促進ソリューションが相次ぎ登場

トラックの電動化も、脱炭素支援を強く意識

RX Japanは1月22~24日、東京・有明の東京ビッグサイトで「第4回スマート物流EXPO —物流DX/ロボット/カーボンニュートラル展」を開催した。

120以上の企業などが出展し、「2024年問題」をはじめ物流業界が抱える諸課題の解決に向け、荷主企業と物流事業者の双方をサポートする技術やサービスをお披露目した。物流業界の脱炭素を後押しするソリューションも多数お目見えした。

 
 

地球温暖化に懐疑的な姿勢を見せる米トランプ大統領の再登板で、世界的な脱炭素の潮流の先行きが不透明化しているが、登壇した多くの企業は今後も環境負荷低減に邁進する姿勢を崩さなかった。自動化や省力化に関しても、より多様なソリューションを展開していくことに強い意欲を見せていた。


スマート物流EXPOの会場

曲げられる太陽電池で「どこでも発電所」に

日揮は薄くて曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」を活用し、これまでは設置が困難だった建物の壁面や耐久性が低い屋根に太陽光発電設備を置ける「どこでも発電所」の構想を発表。ブースではペロブスカイト太陽電池を薄い屋根にも難なく設置できる工法などを紹介していた。

近年は物流施設でも太陽光発電を実施し、再生可能エネルギー由来の電力で施設の使用分を賄ったり、余剰分を外部の施設に提供したりする動きが広がっている。日揮はペロブスカイト太陽電池を実用化すれば、物流施設で発電できる能力が高められ、周辺の設備への送電量も増やせると見込む。


日揮のブース


ペロブスカイト太陽電池を薄い屋根にも載せられる工法のイメージを紹介

 
 

伊藤忠商事や関西電力、東急不動産などが出資し、太陽光発電設備の開発などを手掛けるアイ・グリッド・ソリューションズは、物流施設に太陽光発電設備を取り入れ、蓄電池なども配備して再エネ由来電力を最大限有効活用できるソリューションを展示。既に普及が続いている屋上に続き、駐車場も太陽光発電の拠点として使えるようにする「ソーラーカーポート」の構想を積極的にアピールしていた。


アイ・グリッド・ソリューションズのブース

EV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)のトラック展示も目を引いていた。トヨタ自動車といすゞ自動車、日野自動車、スズキが参加しているCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)は、FCEVの実車を展示し、電動化の進捗をアピール。

新興のEVトラックメーカー、ZO MOTORS(ゾー・モータース)は試験的に開発した最大積載重量が2.9tの「ZM6」の実車を出展した。併せて、日本で2025年12月をめどに第1号のEVトラックを投入することなどを報告した。


CJPTが展示したFCEV


ZO MOTORSが出展したZM6

 
 

このほか、パナソニックコネクトはベルギーのグループ会社Zetes(ゼテス)が手掛けている輸配送業務の最適化ソリューションや倉庫実行管理システムなど、サプライチェーンの各層にわたって自動化や可視化を展開する数々のソリューションを一括して展示。


パナソニックコネクトのブース

KDDIは椿本チエインと合弁で設立し、昨年4月に事業を開始した「Nexa Ware(ネクサウェア)」が手掛ける、マテハン設備や人の動きなど庫内の情報を活用して作業状況を可視化、生産性向上をサポートする「Nexa Warehouse-Optimizer(ネクサ ウェアハウスオプティマイザー)」などを掲載していた。


KDDIのブース

日新は生成AIと貿易実務の専門知識を組み合わせ、現場で活用できる情報を提供する「Nissin AIベース」のプロトタイプを公開したほか、輸出入業務の即時見積もり検索や本船動静トラッキング・案件管理といった機能をデモンストレーションし、「デジタルフォワーダー」としての取り組みを強化している姿勢をPRした。


日新のブース

三菱倉庫は自動車や航空宇宙といった産業向けのソリューションを幅広く公表。さらに、米アマゾンのクラウドサービス部門AWS(アマゾン・ウェブ・サービシズ)と連携して開発した、輸送ルートを最適化するシステム「Emission Monitoring Cargo Route Finder(エミッション・モニタリング・カーゴ・ルート・ファインダー)」を取り上げ、グローバル規模でサプライチェーンの脱炭素につなげられる点をアピールした。


三菱倉庫のブース

YE DIGITAL(YEデジタル)は物流倉庫向けに意思決定を支援するダッシュボード「Analyst-DWC」などを出展。人員配置や在庫保管場所の最適化、自動化設備導入の効果測定などを包括的に手掛ける点を訴えていた。


YE DIGITALのブース

(藤原秀行)

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